確率論における退化分布
定義
ロケーション $a$ に対して次のような 確率密度関数 を分布 $\delta_{a}$ として 退化分布degenerate distributionと呼ぶ1.
$$ f (x) = \lim_{\sigma \to 0} \exp \left( - \frac{(x - a)^{2}}{2 \sigma^{2}} \right) = \delta (x - a) $$ ここで添字のない $\delta$ は ディラックのデルタ関数である.
説明
簡単に言えば退化分布は真の意味で確率分布とは呼べないような、一点にすべての確率が集中して確率的な変動が消え事象が確定してしまう、いわゆる定数関数として扱われる確率変数の分布である.
これは賭博でサイコロの目がすべて $6$ であるイカサマサイコロが $\delta_{6}$ の退化分布を持つ、という例で説明できる. もちろんサイコロを振る試行は存在するし、形式的には確率分布として説明できるが、どう振っても結果は既に $6$ に定まっている.
退化分布は主に 安定分布の定義 において基本的な前提として言及される.
