ユークリッド幾何学における点、直線、平面の定義
定義 1 2
- 部分を持たないものを点pointとする。
- 幅がなく長さのみを持つものを線lineとする。均等に置かれた点上にある線を直線straight lineとする。
- 長さと幅を持つものを面surfaceとする。均等に置かれた直線の上にある面を平面plane surfaceとする。
説明
意外にも論証幾何学では点、直線、平面の定義は現代的な観点から見るとそれほど厳密ではない。上の定義はユークリッド公理系に由来するもので、三つの図形を定義する前に部分とは、幅とは、長さとは何かが言及されていない。驚くべきことに、これは単にユークリッドが古い時代の人だからというわけではなく、現代に近いヒルベルト公理系やバーコフ公理系でもその概念自体を定義なしに受け入れており、したがってこのポストでも単にユークリッドのスタイルに従うことにした。
普通、数学で何より重要なのは定義だが、これを省略した理由はおそらく詰めても意味があまりなかったからだろう。例えば解析幾何的な言語が許されるなら、点はユークリッド空間 $\mathbb{R}^{n}$ の一つの元として、直線と平面はそれぞれその方程式を満たす点の集合として簡単に定義することはできる。しかしこのような説明のためには集合論から始まる長いビルドアップが必要であり、論証幾何学の出発点として扱う簡単な図形にはふさわしくない。
Byer, O., Lazebnik, F., & Smeltzer, D. L. (2010). Methods for Euclidean geometry (Vol. 37). American Mathematical Soc. p10. ↩︎
Fitzpatrick, R. (2008). Euclid’s elements of geometry. https://farside.ph.utexas.edu/Books/Euclid/Elements.pdf p6. ↩︎