偏微分環と微分環
定義 1
リング $R$で定義される代数的微分 $\Delta = \left\{ \partial_{1} , \cdots , \partial_{n} \right\}$が全ての$i,j = 1, \cdots, n$に対して $$ \partial_{i} \left( \partial_{j} (r) \right) = \partial_{j} \left( \partial_{i} (r) \right) \qquad \forall r \in R $$ を満たせば、順序対$\left( R , \Delta \right)$を偏微分環partial Derivative ringという。特に$\Delta$がシングルトン集合singletone setならば、つまり$\Delta = \left\{ d \right\}$であれば$\left( R , \Delta \right) = \left( R , d \right)$を通常微分環ordinary Derivative ringという。
説明
微分方程式が大きく通常微分方程式と偏微分方程式に分かれることを見たので、代数的微分を研究した人たちは自然と最初から通常の微分と偏微分を区別しただろう。解析学での微分と特に区別するのは、$\partial_{i} \partial_{j} = \partial_{j} \partial_{i}$のように可換commutingすること自体が条件として与えられていることだ。通常は連続性に関連する性質だが、代数では完全に定義として打ち立てられたことが特異だ。
Dale. (2016). NOTES ON DIFFERENTIAL ALGEBRA: https://math.berkeley.edu/~reiddale/differential_algebra_notes.pdf p12. ↩︎