世界線とガリレイ変換
定義
粒子の軌跡を時空間で表した線を世界線world lineと呼ぶ。
説明
まず一方向に等速運動する座標系だけを考えよう。$A$座標系では、原点に静止した粒子がいる。この粒子の世界線は以下の通りだ。
そして$A$座標系に対して$+x$方向に$v_{0}$の速度で動く$A^{\prime}$座標系がある。
同じ粒子の運動を$A^{\prime}$座標系から観察すると、世界線は以下の通りだ。
$A^{\prime}$系が$x$方向にのみ動くので、$y, z$の値は変わらない。つまり、以下の通りだ。
$$ \begin{align*} t^{\prime}&= t \\ x^{\prime} &= -v_{0}t \\ y^{\prime} &= 0 \\ z^{\prime} &= 0 \end{align*} $$
粒子が原点ではない任意の点$P(x,y,z,)$に静止しているとすると、以下の通りだ。
$$ \begin{align*} t^{\prime} &= t \\ x^{\prime} &= x-v_{0}t \\ y^{\prime} &= y \\ z^{\prime} &= z \end{align*} $$
すると、二つの座標系間の時空間では以下のような式が成立し、これをガリレイ変換Galilean transformationと呼ぶ。
$$ \begin{pmatrix} t^{\prime} \\ x^{\prime} \\ y^{\prime} \\ z^{\prime} \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 & 0 & 0 & 0 \\ -v_{0} & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} t \\ x \\ y \\ z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} t \\ x-v_{0}t \\ y \\ z \end{pmatrix} $$
ガリレイ変換には以下のような特徴があることがわかる。
- 二つの座標系間で時刻は絶対的で、変わらない。
- 粒子の速度は、二つの座標系間の速度差分だけ異なる。
- さらに、座標系が動かない方向では、速度の差が生じない。数式で表されると、以下の通りだ。 $$ \begin{align*} t^{\prime} &= t \\ v_{x}^{\prime} &= v_{x}-v_{0} \\ v_{y}^{\prime} &= v_{y} \\ v_{z}^{\prime}&= v_{z} \end{align*} $$
参照
[ローレンツ変換]
ガリレイ変換は、相対性理論の効果を考慮しない変換式である。光の速度に近くないとき、この近似は現実とかなりうまく一致する。一方で光の速度に近づくと、相対性理論の効果を考慮する必要があり、これを反映したものがローレンツ変換である。