共役複素数
📂複素解析共役複素数
定義
z を z=a+ib(a,b∈R) の複素数としよう。
z を以下のように定義し、z の共役複素数と呼ぶ。
z:=a+ib=a−ib
説明
元の複素数に i ではなく −i を代入したもの、複素平面で実数軸に対する反射として説明できる。共役という言葉は、足したときに実数を作り出す一対であるという点から名付けられたようだ。共役複素数は複素解析を学ぶ際に最初に出会う概念の一つだが、実際にはすぐに使うことはないため、学習を怠ることが多い。しかし、これらの性質は単に学ぶだけではなく、反復を通じて習得することが重要である。通常、[5] 以降は本でも言及されないので、生さえずし屋で学んでおき、利益を得るようにしよう。
性質
z1, z2, z∈C とする。すると以下の等式が成り立つ。
- [1]: (z+z)=2Re(z)∈R
- [2]: z1+z2=z1+z2
- [3]: z1z2=z1⋅z2
- [4]: z=z
- [5]: zz=∣z∣2
- [6]: (z1)=z1
- [7]: (z2z1)=z2z1
- [8]: sinz=sinz
- [9]: cosz=cosz
- [10]: ez=ez
- [11]: coshz=coshz
- [12]: tanz=tanz
証明
証明に移る前に変数を z1=x1+iy1, z2=x2+iy2, z=x+iy としよう。
[1]
z+z=(x+iy)+(x−iy)=2x
よって、(z+z)=2x∈Rである。
■
[2]
z1+z2====(x1+iy2)+(x2+iy2)(x1+x2)+i(y1+y2)(x1+x2)−i(y1+y2)=(x1−iy1)+(x2−iy2)z1+z2
■
[3]
z1z2======(x1+iy1)(x2+iy2)(x1x2−y1y2)+i(x1y2+y1x2)(x1x2−y1y2)−i(x1y2+y1x2)(x1−iy1)(x2−iy2)(x1+iy1) (x2+iy2)z1⋅z2
■
[4]
z=x−iy=x+iy=z
■
[5]
zz=(x+iy)(x−iy)=x2+y2=∣z∣2
■
[6]
(z1)=(x+iy1)=x2+y2x−iy=x2+y2x+iy=x−iy1=z1
■
[7]
- [3], [6]によると
(z2z1)=z1z21=z1⋅(z21)=z1⋅z21=z2z1
■
[8] [9]
[8]と[9]の証明は本質的に同じなので、[9]の証明は省略する。
sinz=====sin(x+iy)sinxcoshy−icosxsinhysinxcoshy+icosxsinhysin(x−iy)sinz
■
[10]
オイラーの公式によると、以下が成り立つ。
ez=cosx+isiny=cosx−isiny=ez
■
[11]
[7], [10]によると、以下が成り立つ。
coshz=(2ez+e−z)=2ez+e−z=coshz
■
[12]
[7], [8], [9]によると、以下が成り立つ。
tanz=(coszsinz)=coszsinz=coszsinz=tanz
■
補足
証明の過程から分かるように、[11]は他の双曲関数に対しても適用できる。特定の関数だけが重要で別に証明が必要なわけではなく、このような良い性質を容易に導出できることを示すために証明を残した。三角関数も同様に、これらの良い性質を自ら簡単に導き出せるので、自分で試してみよう。
- [13]: 1−i1+i=i
- [14]: 1+i1−i=−i
- [15]: i1=−i
- [16]: i⋅(−i)=1
公式ではないが、これらの虚数の計算は非常に頻繁に使用されるため、マスターすると計算量を劇的に減らすことができる。特に[15]は、約分や両辺に虚数を掛ける状況で非常に便利だ。