積空間の基本群は基本群の積と同型である
定理
$X, Y$を位相空間としよう。その(位相学的)デカルト積の基本群と、それぞれの成分の群のデカルト積は同型である。 $$ \pi_{1} \left( X \times Y , \left( x_{0} , y_{0} \right) \right) \simeq \pi_{1} \left( X, x_{0} \right) \times \pi_{1} \left( Y, y_{0} \right) $$ 特に$X, Y$が全部道連結であれば、以下のように基点を省略できる。 $$ \pi_{1} \left( X \times Y \right) \simeq \pi_{1} \left( X \right) \times \pi_{1} \left( Y \right) $$
証明 1
位相空間のデカルト積に関する基本的な性質で、次の二つは同値だ。
- $f : Z \to X \times Y$が連続である。
- $f(z) = \left( g(z) , h(z) \right)$で$g : Z \to X$と$h(z) : Z \to Y$が両方とも連続である。
したがって、$f$が$X \times Y$を基点とするということは、二つのパス$g, h$がそれぞれ$x_{0} \in X$と$y_{0} \in Y$を基点とするということと同値である。この議論はホモトピー$F : I^{2} \to Z$、$G : I^{2} \to X$、$H: I^{2} \to Y$についても同様だ。したがって $$ \phi : \pi_{1} \left( X \times Y , \left( x_{0} , y_{0} \right) \right) \to \pi_{1} \left( X, x_{0} \right) \times \pi_{1} \left( Y, y_{0} \right) $$ を$\phi : [f] \mapsto \left( [g] , [h] \right)$と定義すると、これは自明に群の準同型であり、$\phi$が全単射であるため、同型にもなる。
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Hatcher. (2002). Algebraic Topology: p34. ↩︎