正規分布の十分統計量と最尤推定量
📂確率分布論正規分布の十分統計量と最尤推定量
定理
正規分布に従うランダムサンプル X:=(X1,⋯,Xn)∼N(μ,σ2) が与えられたとする。
(μ,σ2) に対する十分統計量 T と最尤推定量 (μ^,σ2) は以下のとおりである。
T=(μ^,σ2)=(k∑Xk,k∑Xk2)(n1k∑Xk,n1k∑(Xk−X)2)
証明
十分統計量
f(x;λ)====μ=σk=1∏nf(xk;λ)k=1∏n2πσ1exp[−21(σxk−μ)2]2πnσn1exp[−2σ21k=1∑nxk2]exp[σ21k=1∑nμxk]exp[−2σ21nμ2]exp[σ2μk=1∑nxk−2σ21nμ2]⋅2πnσn1exp[−2σ21k=1∑nxk2]2πnσn1exp[−2σ21k=1∑nxk2]exp[σ21k=1∑nμxk]exp[−2σ21nμ2]⋅1
ネイマン因数分解定理:ランダムサンプル X1,⋯,Xn がパラメータ θ∈Θ に対して同じ確率質量/密度関数 f(x;θ) を持つとする。統計量 Y=u1(X1,⋯,Xn) がθ の十分統計量であるためには、以下を満たす非負の二つの関数 k1,k2≥0 が存在することである。
f(x1;θ)⋯f(xn;θ)=k1[u1(x1,⋯,xn);θ]k2(x1,⋯,xn)
ただし、k2 は θ に依存してはならない。
ネイマン因数分解定理によると、T:=(∑kXk,∑kXk2) は (μ,σ2) に対する十分統計量である。
最尤推定量
logL(μ,σ2;x)==logf(x;μ,σ2)−nlogσ2π−2σ21k=1∑nxk2+σ21k=1∑nμxk−2σ21nμ2
ランダムサンプルの対数尤度関数は上記の通りであり、尤度関数が最大値を得るためにはμ,σ に対する偏微分が 0 にならなければならない。まずμ に対する偏微分が 0 になるためには
⟹0=σ21k=1∑nxk−σ21nμμ=n1k=1∑nxk
したがって、σ に関係なく、μ^=∑k=1nXk/n が成立し、σ に対する偏微分が 0 になるためには
⟹⟹0=−σn+σ31k=1∑nxk2−σ32k=1∑nμxk+σ31nμ2nσ2=k=1∑nxk2−2k=1∑nμxk+nμ2σ2=n1k=1∑n(xk−μ)2
したがって、μ^=μ^=∑k=1nXk/n についてσ2=∑k=1n(Xk−μ)2/n が成立する。
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