カリン-ルビン定理の証明
📂数理統計学カリン-ルビン定理の証明
定理
仮説検定:
H0:H1:θ≤θ0θ>θ0
このような仮説検定では、T を θ の十分統計量と言い、t の確率密度関数または確率質量関数のファミリー{g(t∣θ):θ∈Θ} が単調尤度比 MLR を持つとする。そうすると∀t0 に対して
H0 is rejected if and only if T>t0
の仮説検定はレベル α=Pθ0(T>t0) 最強力検定だ。
- パラメーターθ に対して、棄却域がR である関数β(θ):=Pθ(X∈R) を 検出力関数power functionと言う。supθ∈Θ0β(θ)≤α なら、与えられた仮説検定を レベルlevel α 仮説検定と言う。
説明
与えられた仮説検定はH0:θ≤θ0、つまり片側検定one-sided testに注意しよう。例えば、z-検定を行う場面で∣Z∣≥zα/2 という条件下では帰無仮説を棄却することになるが、これは両側検定two-sided testであり、カーリン-ルービンの定理を無闇に使うことはできない。通常、片側で最強力検定であるが、他方でそうではなくなるという問題が発生し、この状況を克服するために偏りのない検定効率などを考えるようになる。
十分統計量の確率密度関数または確率質量関数のファミリーが単調尤度比を持つことを示すことで、片方向検定が最強力検定であることが保証される定理である。
証明
Part 1.
θ>θ0 の時、帰無仮説は棄却されるため、検出力関数はβ(θ)=Pθ(T>t0) となる。θ の十分統計量T の確率密度関数または確率質量関数のファミリーが単調尤度比を持つという仮定より、β(θ) は単調増加関数(減少しない)であり
θ≤θ0supβ(θ)=β(θ0)=α
であり、レベルαのテストだ。
Part 2.
単調尤度比の定義: パラメーターθ∈R と単変量確率変数T に対する確率質量関数または確率密度関数のファミリーをG:={g(t∣θ):θ∈Θ} とする。全てのθ2>θ1 に対して
g(t∣θ1)g(t∣θ2)
が{t:g(t∣θ1)>0∨g(t∣θ2)>0} で単調関数ならばG は 単調尤度比monotone Llikelihood Ratio, MLRを持つと言われる。
今θ′>θ0 を固定し、以下のように別の仮説検定を考える。
H0′:H1′:θ=θ0θ=θ′
この新しい仮説検定はNeyman-Pearson補題の従題を適用するためのセッティングであり、同時に元の仮説検定の棄却域に属するθ′∈Θ0c に関する任意の仮説検定である。集合T:={t>t0:g(t∣θ′)∨g(t∣θ0)} で
k′:=t∈Tinfg(t∣θ0)g(t∣θ′)
を考えると、その定義に従って、以下を得る。
T>t0⟺g(t∣θ0)g(t∣θ′)>k’⟺g(t∣θ′)>k’g(t∣θ0)
Part 3.
十分統計量を含む最強力検定:
H0:H1:θ=θ0θ=θ1
このような仮説検定で、パラメーターθ に対する十分統計量T のθ0,θ1 に対する確率密度関数または確率質量関数をg(t∣θ0),g(t∣θ1) と言おう。すると、棄却域S とある定数k≥0 に対して、以下の三つの条件を満たしながらT に依存する全ての仮説検定はレベル αの最強力検定である。
- (i): g(t∣θ1)>kg(t∣θ0) ならば t∈S
- (ii): g(t∣θ1)<kg(t∣θ0) ならば t∈Sc
- (iii): α=Pθ0(T∈S)
Part 2での条件 (i)、(ii)と、Part 1での条件 (iii)が満たされるので、H0′ vs H1′ は最強力検定である。言い換えると、全てのレベルα とH0′ と比較した他の全ての検出力関数β∗ に対して
β∗(θ′)≤β(θ′)
が成り立つということであり、Part 1でβ が単調増加関数であったことと、Part 2でθ′>θ0 を固定したので、全ての仮説検定に対してβ(θ0)≤α が適用されることがわかる。一方で、H0 の全てのレベルα 仮説検定は
β∗(θ0)≤θ∈Θ0supβ∗(θ)≤α
を満たす。証明過程で、θ′ がレベルα の仮説検定であれば何でも良かったので、元の仮説検定のいかなるθ′∈Θ0c を代入しても、H0′ だけでなく、H0 の全てのレベルα 仮説検定でβ∗(θ′)≤β(θ′) が成り立つ。つまり、定理で与えられたH0 の仮説検定はレベルα 最強力検定である。
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