ネイマン-ピアソン補助定理の証明
📂数理統計学ネイマン-ピアソン補助定理の証明
定理
仮説検定:
H0:H1:θ=θ0θ=θ1
上記の仮説検定において、θ0,θ1の確率密度関数または確率質量関数をf(x∣θ0),f(x∣θ1)とし、棄却域をR、ある定数k≥0に対して
- (i): f(x∣θ1)>kf(x∣θ0)の場合x∈R
- (ii): f(x∣θ1)<kf(x∣θ0)の場合x∈Rc
- (iii): α=Pθ0(X∈R)
であれば、次の二つの命題は同値である。
説明
与えられた仮説検定の母数空間はΘ={θ0,θ1}であり、対立仮説はθ∈Θ0c⟺θ=θ1であることに注意しよう。
検定力関数:
- 棄却域がRである母数θに対する関数β(θ):=Pθ(X∈R)を検定力関数と呼ぶ。
- supθ∈Θ0β(θ)=αならば、与えられた仮説検定をサイズαの仮説検定という。
- supθ∈Θ0β(θ)≤αならば、与えられた仮説検定をレベルαの仮説検定という。
全てのレベルαの最強力検定が正確にサイズαの最強力検定であるということは、条件(iii)を満たしているという意味である。条件(iii)を満たす、つまりサイズαの全ての仮説検定は
Pθ(X∈R)=Pθ0(X∈R)=α
であり、Θ0が単元素集合であるため、レベルαの仮説検定でもある。
証明
戦略:確率密度関数、すなわち連続の場合に限って証明しよう。離散確率変数の場合は、単に∫を∑に変更すれば良い。証明を簡潔にするために、指示関数を使って次のようにテスト関数ϕを定義しよう。
ϕ(x):=χR(x)={10,if x∈R,if x∈/R
ここに、
- ϕが条件(i)〜(iii)を満たすテスト関数
- ϕ′が他の任意のレベルαに対する別のテスト関数
- β′をϕ′に対する検定力関数
であるとする。
(⟸)
条件(i)、(ii)において、
- (i): f(x∣θ1)>kf(x∣θ0)の場合x∈R⟹ϕ(x)=1
- (ii): f(x∣θ1)<kf(x∣θ0)の場合x∈Rc⟹ϕ(x)=0
である。一方0≤ϕ’(x)≤1であるため、
- (ア): x∈R⟹ϕ(x)−ϕ’(x)≥0
- (イ): x∈/R⟹ϕ(x)−ϕ’(x)≤0
である。従って、(i)、(ア)または(ii)、(イ)のいずれかでϕ(x)−ϕ’(x)にf(x∣θ1)−kf(x∣θ0)を掛け合わせて以下の不等式を得る。
[ϕ(x)−ϕ’(x)][f(x∣θ1)−kf(x∣θ0)]≥0
ここで標本空間全体に対して定積分∫Ω⋅dxを行うと、
0≤===∫Ω[ϕ(x)−ϕ’(x)][f(x∣θ1)−kf(x∣θ0)]dx∫Ωϕ(x)f(x∣θ1)−ϕ’(x)f(x∣θ1)−ϕ(x)kf(x∣θ0)+ϕ’(x)kf(x∣θ0)dx∫Rf(x∣θ1)−f(x∣θ1)−kf(x∣θ0)+kf(x∣θ0)dxβ(θ1)−β’(θ1)−kβ(θ0)+kβ’(θ0)
になる。定義により、ϕ′はレベルα≥β’(θ)の検定に関するものであり、ϕ=supβ(θ)はサイズαの検定に関するものであったため、
β(θ0)−β’(θ0)=α−β’(θ0)≥0
となり、k≥0であるため、
0≤β(θ1)−β’(θ1)−[kβ(θ0)−β’(θ0)]≤β(θ1)−β’(θ1)
である。要約すると、
- β’(θ1)≤β(θ1)であり、
- ϕ′は任意のレベルαであり、
- θ1はΘ0cの唯一の要素であるため、
条件(i)〜(iii)を満たす仮説検定が最強力検定であることを示した。
最強力検定:
Cを上記のような仮説検定を集めた集合とする。
Cにおいて、検定力関数β(θ)を持つ仮説検定Aが、全てのθ∈Θ0cおよびCの全ての仮説検定の検定力関数β′(θ)に対して
β′(θ)≤β(θ)
を満たせば、仮説検定A∈Cを最強力検定(Uniformly) Most Powerful Test, UMPと呼ぶ。
(⟹)
今、ϕ′をレベルα最強力検定のテスト関数とする。
ϕが条件(i)〜(iii)を満たすとしたので、対応する仮説検定も最強力検定であり、全てのθ∈Θ0cにおける検定力関数の値が等しくなる。つまりβ(θ1)=β’(θ1)であり、
0≤=β(θ1)−β’(θ1)−k[β(θ0)−β’(θ0)]0−k[β(θ0)−β’(θ0)]
である。
- すぐ上で得た不等式を整理するとβ(θ0)≤β’(θ0)であり、ϕはサイズα=supθ∈Θ0β(θ)の仮説検定であったので、α≤β’(θ0)である。
- 前提から、ϕ′はレベルα≥supθ∈Θ0β′(θ)の仮説検定であったので、β′(θ)≤αである。
両方の不等式によりβ′(θ)=αであり、ϕ′の仮説検定は正確にサイズαの検定であることが証明された。ただし、これは∫Af(x∣θ)dx=0である集合A⊂Ωの外側でのみ成り立つ不等式とされているため、要約でAは例外として扱わなければならない。
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