ロシェの定理の証明
📂複素解析ロシェの定理の証明
定理
f と g が単純閉路 Cとその内部で解析的であり、C上で∣g(z)∣<∣f(z)∣を満たす場合、f と f+g はCの内部で同じ数の零点を持つ。
解説
この定理は、与えられた関数をh=f+gとして考え、fとgにうまく分けて書くことを含む。特に多項式関数の場合は、このような操作が非常に簡単であるため、非常に便利である。さらに、数値解析的な方法と組み合わせることにより、方程式h(z)=0の解が具体的にどこに位置するかをかなり正確に知ることができる。
証明
戦略: Z(0)がfの零点の数を、Z(1)がgの零点の数を表すようにZを定義し、Z(0)=Z(1)が成立することを示す。Zの関数値は整数であり、それが連続関数であれば、そのようなZは定数関数であるしかないので、Z(0)=Z(1)を得ることができる。
t∈[0,1]に対してh(z,t):=f(z)+tg(z)を考える。fとgはCとその内部で解析的であるため、h(z,t)は固定されたtに対してCとその内部で極点を持たない。もしf(z)+tg(z)=0ならば
∣f(z)∣=∣−tg(z)∣=∣tg(z)∣
だがt∈[0,1]であるため、∣f(z)∣≤∣g(z)∣である。これは仮定に反するため、f(z)+tg(z)=0でなければならない。
f(z)+tg(z)=0であるため、新しい関数Z(t):=2πi1∫Cf(z)+tg(z)f′(z)+tg′(z)dzを定義できる。
Z:[0,1]→Zの定義によれば、Z(t)は有理型関数f(z)+tg(z)の零点の数を表す。ここで、t=0ならばZ(0)はfの零点の数であり、t=1ならばZ(1)はf+gの零点の数になる。つまり、Z(0)=Z(1)を示せば、証明は完了である。
また、Z:[0,1]→Zの値域が整数集合Zであるため、Zが連続関数であれば、Zは定数関数しかあり得ない。∣Z(t)−Z(s)∣を計算すると
∣Z(t)−Z(s)∣=2π∣t−s∣∫C(f(z)+tg(z))(f(z)+sg(z))f(z)g′(z)−f′(z)g(z)dz
を得る。一方で
∣f(z)+tg(z)∣≥∣f(z)∣−t∣g(z)∣≥∣f(z)∣−∣g(z)∣>0
∣f(z)+sg(z)∣≥∣f(z)∣−∣g(z)∣>0
ここで、Cはコンパクトであるため、最大最小値定理により、(∣f(z)∣−∣g(z)∣)2f(z)g′(z)−f′(z)g(z)≤Mを満たすM>0が存在する。
ML補助定理: ∣f(z)∣≤Mを満たす正の数MとCの長さLに対して
∫Cf(z)dz≤ML
Cの長さをLとすると
∣Z(t)−Z(s)∣≤∣t−s∣2πML
したがって、∣t−s∣→0の時に∣Z(t)−Z(s)∣→0であり、これはZが(一様)連続であることを意味する。Z(t)の関数値は整数であり、連続性を維持するためには、Zは定数関数であるしかなく、Z(0)=Z(1)を得る。
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