平面と法線ベクトルの交点
定義1
$2$次元のユークリッド空間の部分集合$U \subset \mathbb{R}^{2}$が座標$u_{1}$、$u_{2}$を持っているとしよう、$\mathbf{x}_{1}$、$\mathbf{x}_{2}$をシンプルな曲面$\mathbf{x} : U \to \mathbb{R}^{3}$での方向偏微分としよう。
$$ \begin{align*} \mathbf{x}_{1} := {{ \partial \mathbf{x} } \over { \partial u_{1} }} & , & \mathbf{x}_{2} := {{ \partial \mathbf{x} } \over { \partial u_{2} }} \end{align*} $$
- 点$p = \mathbf{x} (a,b)$での$\mathbf{x}_{1} \times \mathbf{x}_{2}$と垂直な平面を$p$での接平面tangent Planeという。
- 次のように定義された$\mathbf{n}$を$p$の単位法線unit Normalという。 $$ \mathbf{n}(a,b) := {{ \mathbf{x}_{1} \times \mathbf{x}_{2} } \over { \left| \mathbf{x}_{1} \times \mathbf{x}_{2} \right| }} $$
説明
曲線を語る時に接線を考えたのと同じように、曲面での接平面を考えることは非常に自然なことだ。$p$での接平面は、$p$の周りで曲面を最もよく近似する平面だ。
シンプルな曲面の定義から$\mathbf{x}_{1} \times \mathbf{x}_{2} \ne 0$であるため、法線$\mathbf{n}$の存在は常に保証されている。
次の定理から、接平面は接ベクトルの集合と同じであり、ベクトル空間になることが分かる。このため、接平面は接空間tangent spaceと呼ばれる。曲面$M$の点$p$上の接空間を$T_{p}M$と表示する。
定理2
シンプルな曲面$\mathbf{x} : U \to \mathbb{R}^{3}$の点$p = \mathbf{x}(a,b)$での全ての接ベクトルの集合は、基底が$\left\{ \mathbf{x}_{1}(a,b), \mathbf{x}_{2}(a,b) \right\}$である$2$次元のベクトル空間である。また$p$での接平面は、$\mathbb{R}^{3}$の何らかの原点を通る直線と平行である。
証明
点$p$での接ベクトル$\mathbf{x}_{1}, \mathbf{x}_{2}$は線形独立である。($\mathbf{x}_{1} \times \mathbf{x}_{2} \ne \mathbf{0}$であるので)$p$での全ての接ベクトルの集合はベクトル空間であるため、これは少なくとも$2$次元以上のベクトル空間である。このベクトル空間が$2$次元であることを示すためには、$\left\{ \mathbf{x}_{1}, \mathbf{x}_{2} \right\}$がこれを生成することを示せば良い。
$\mathbf{X}$を点$p$での接ベクトルとしよう。そして$\boldsymbol{\gamma}$を、$\boldsymbol{\gamma}(0) = p, \dot{\boldsymbol{\gamma}}(0) = \mathbf{X}$である$\mathbf{x}(U)$上の曲線とする。そして、$\boldsymbol{\gamma}(t)$を次のように表現しよう。
$$ \boldsymbol{\gamma}(t) = \mathbf{x}\left( \gamma^{1}(t), \gamma^{2}(t) \right) $$
それから、連鎖規則によって、
$$ \dfrac{d \boldsymbol{\gamma}}{d t} = \dfrac{\partial \mathbf{x}}{\partial u^{1}}\dfrac{d \gamma^{1}}{d t} + \dfrac{\partial \mathbf{x}}{\partial u^{2}}\dfrac{d \gamma^{2}}{d t} = \sum_{i}\dfrac{d \gamma^{i}}{d t}\mathbf{x}_{i} $$
$$ \implies \mathbf{X} = \dfrac{d \boldsymbol{\gamma}}{d t}(0) = \sum_{i}\dfrac{d \gamma^{i}}{d t}(0)\mathbf{x}_{i}(a,b) $$
任意の接ベクトル$\mathbf{X}$が$\left\{ \mathbf{x}_{i} \right\}$たちの線形結合で示されるので、$\left\{ \mathbf{x}_{i} \right\}$は$p$での全ての接ベクトルの集合を生成する。したがって、$p=\mathbf{x}(a,b)$での全ての接ベクトルの集合は、基底が$\left\{ \mathbf{x}_{1}(a,b), \mathbf{x}_{2}(a,b) \right\}$である$2$次元のベクトル空間である。