効率的な推定量
定義 1
$Y$がパラメーター$\theta$に対する不偏推定量であるとしよう。
- クラメール・ラオ下界 $\text{RC}$に対する推定量$Y$の効率efficiencyは以下のように定義される: $$ {{ \text{RC} } \over { \operatorname{Var} (Y) }} $$
- 効率が$1$の推定量を効率的推定量efficient estimatorと呼ぶ。
説明
クラメール・ラオ不等式: $$ \operatorname{Var} (Y) \ge {{ \left[ k’(\theta) \right]^{2} } \over { n I (\theta) }} = \text{RC} $$
上記の不等式により、効率が$1$を超えることは明らかに不可能である。
推定量が効率的であるというのは直感に完全に合っていて、実際の分散がクラメール・ラオ下界と等しいということは、その理論的な分散が可能な限り最小であることを意味している―パラメーター$\theta$を指し示すための推定量が、可能な限り狭い範囲で$\theta$を指し示すということである。
最良不偏推定量との違い
一見すると、最良不偏推定量と似ているように見えるが、効率的推定量はその分散が正確にクラメール・ラオ下界まで低下しており、理論上さらに良い不偏推定量であり、最良不偏推定量は理論的な限界までではないが、他のすべての不偏推定量を圧倒するだけで良い。最良であることが必ずしも効率が$1$になることを保証するわけではなく、分散を理論的な下限まで最小化できなくても、最良不偏推定量であることに全く問題はない。
効率的推定量は最良不偏推定量であるが、その逆が成り立つとは限らない。
Hogg et al. (2013). Introduction to Mathematical Statistcs(7th Edition): p338. ↩︎