一斉射撃戦闘モデル
概要
ランチェスターの法則が近代戦と現代戦の様相を描写するモデルであれば、一斉射撃戦闘モデルは特にスケールの大きい艦隊戦を描写する。艦隊戦における攻撃手段はミサイルのように大きく強力なものが多く、逆にこれらのミサイルを迎撃するミサイルも存在する点が異なる。
モデル1
$$ \begin{align*} \Delta A =& - { { 1 } \over { H_{A} } } \left( O_{B} B - D_{A} A \right) \\ \Delta B =& - { { 1 } \over { H_{B} } } \left( O_{A} A - D_{B} B \right) \end{align*} $$ ただし、次の制限がある。 $$ 0 \le - \Delta A \le A \\ 0 \le - \Delta B \le B $$
変数
- $A(t)$: 時点$t$での集団$A$の個体数を表す。
- $B(t)$: 時点$t$での集団$B$の個体数を表す。
パラメータ
- $H_{k}$: 集団$k$の持久力staying powerを表す。
- $O_{k}$: 集団$k$の攻撃的火力offensive firepowerを表す。
- $D_{k}$: 集団$k$の防御的火力defensive firepowerを表す。
説明
艦隊戦における艦船の数と言っても、抽象的に見た場合、このモデルは人口動態モデルとして全く不足がない。他のモデルと異なる点は、微分方程式ではなく離散的に表現している点、長い時間を考慮する生態系モデルと比較して非常に短い瞬間だけを見るため、増援を考慮しないことによって次のような制限が生じる。 $$ 0 \le - \Delta A \le A \\ 0 \le - \Delta B \le B $$ これは、防御的火力が高いからと言って、無かった艦船が出現しないし、どれだけ劣勢でも、無かった艦船が沈むわけではないことを式で表している。
ランチェスターモデルとの比較
ランチェスターモデルと比較した時、防御力を反映させるかどうかの違いがある。式での防衛行動は、単に各個体が装甲を重ねるというよりは、迎撃ミサイルを発射することによって行われるため、防御力も艦隊の規模に比例する。