ラマヌジャンの和
定義
発散する級数に値を割り当てることをラマヌジャン和と呼び、シンボル$\Re$を通じて表される。
定理
- [1] グランディ級数 1: $$ 1-1+1-1+ \cdots = {{ 1 } \over { 2 }} \qquad ( \operatorname{Re} ) $$
- [2] $$ 1-2+3-4+ \cdots = {{ 1 } \over { 4 }} \qquad ( \operatorname{Re} ) $$
- [2]’ $$ 1+2+3+4+ \cdots = - {{ 1 } \over { 12 }} \qquad ( \operatorname{Re} ) $$
説明
値が存在しない、しかも発散することに値を割り当てるとは、一体何を意味するのか疑問に思うかもしれない。まず、収束しないが「収束するとして」形式的に計算した結果としても良いと考えてもいい。物理学などの分野で意外と応用されているが、正確に理解していないままわざわざ説明する必要を感じないので、単に直感的な(厳密でない)証明のみを紹介する。実際に証明を見ても面白いが、読者のみなさんも単に興味本位で読み、あまり真剣に受け止めないことをおすすめする。
特に定理[2]‘の場合は別のポストでディリクレ級数$\displaystyle \sum_{n \in \mathbb{N}} {{ a_{n} } \over { n^{s} }}$の解析的連続であるリーマンゼータ関数を通じてより厳密な証明を紹介した。そのような読者が厳密な証明まで理解していない場合、ラマヌジャン和に関する質問には答えにくい。直感的であれ厳密であれ、不思議と結果は同じになるが、直感的な証明には多くの欠陥があり、厳密な証明を数語で説明するには複雑すぎる。
証明
[1]2
$$ S := 1-1+1-1+ \cdots \qquad ( \operatorname{Re} ) $$ と置くと
$$ 1 - S = 1 - \left( 1-1+1-1+ \cdots \right) = 1-1+1-1+ \cdots = S \qquad ( \operatorname{Re} ) $$
左辺の$S$を右辺に移動すると
$$ 1 = 2S \qquad ( \operatorname{Re} ) $$
したがって
$$ 1+1+1+1+ \cdots = S = {{ 1 } \over { 2 }} \qquad ( \operatorname{Re} ) $$
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[2]3
$$ S := 1 - 2 + 3 - 4 + 5 - 6 + \cdots \qquad ( \operatorname{Re} ) $$ と置くと
$$ \begin{align*} S =& 1 & - & 2 & + & 3 & - & 4 & + & 5 & - & 6 & + & \cdots \qquad ( \operatorname{Re} ) \\ 2S =& & & 2 & - & 4 & + & 6 & - & 8 & + &10 & - & \cdots \qquad ( \operatorname{Re} ) \\ S =& & & & & 1 & - & 2 & + & 3 & - & 4 & + & \cdots \qquad ( \operatorname{Re} ) \end{align*} $$
これにより
$$ 4S := 1 + 0 + 0 + \cdots \qquad ( \operatorname{Re} ) $$
したがって
$$ 1 - 2 + 3 - 4 + \cdots = {{ 1 } \over { 4 }} $$
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[2]’
$$ S := 1 + 2+3+4+ \cdots \qquad ( \operatorname{Re} ) $$ と置くと $$ \begin{align*} S =& 1 & + & 2 & + & 3 & + & 4 & + \cdots \qquad ( \operatorname{Re} ) \\ 4S =& & & 4 & + & & + & 8 & + \cdots \qquad ( \operatorname{Re} ) \\ S - 4S =& 1 & - & 2 & + & 3 & - & 4 & + \cdots \qquad ( \operatorname{Re} ) \end{align*} $$
定理[2]により$\displaystyle S = {{ 1 } \over { 4 }}$であるため
$$ 1+2+3+4+ \cdots = - {{ 1 } \over { 12 }} \qquad ( \operatorname{Re} ) $$
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