解析関数
定義
開集合$A \subset \mathbb{C}$と$f: A \to \mathbb{C}$が定義されていて、$\alpha \in A$としよう。
$\displaystyle \lim_{z \to \alpha } f(z) = f (\alpha)$ならば、$f$は$\alpha$で連続だといい、複素領域 $\mathscr{R}$の全ての点で連続ならば、$f$は$\mathscr{R}$上で連続だという。特に$f$が定義域上で連続ならば、連続関数と呼ばれる1。
$\alpha$での$f$の微分係数を以下のように定義し、$\alpha$で微分係数が存在すれば、$f$は$\alpha$で微分可能であるという。 $$ f ' (\alpha) := \lim_{h \to 0} {{ f ( \alpha + h ) - f ( \alpha ) } \over { h }} $$ ここで$h \in \mathbb{C}$とし、複素平面上のどの方向でも関係なくなければならない。
$f$が複素領域 $\mathscr{R}$の全ての点で微分可能ならば、$f$は$\mathscr{R}$で解析的であるという。特に$f:\mathbb{C} \to \mathbb{C}$が$\mathbb{C}$で解析的ならば、全解析entire関数という2。
説明
- 実数集合$\mathbb{R}$を定義域とする関数とは異なり、一般的に$\mathbb{C}$を定義域とする関数も同じ幾何学的意味を持つわけではないが、形式的な定義上、複素解析における微分が微分と呼ばれる理由が全くないわけではない。もちろん、複素平面として$\mathbb{C} \simeq \mathbb{R}^{2}$を考えるならば、やはり傾きと似た意味で見ることができる。
- 解析的関数は、正則関数regular function、ホロモーフィック関数holomorphic functionとも呼ばれる。しかし、解析的連続の条件として使われる点で、解析的関数という表現が最もメジャーだ。“なぜこれを微分可能な関数ではなく、わざわざ解析的関数という言葉を作って呼ぶのか?“については、複素解析が発展した当時の視点が入っていると見ることができるだろう。言及したように、複素平面での微分というのは、形式的な定義であって、我々が実数空間$\mathbb{R}$で扱ったように考えるべきではない、という意味だったのではないかと思われる。