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ノルム空間における無限級数スパン全体列 📂バナッハ空間

ノルム空間における無限級数スパン全体列

無限級数1

定義

$(X, \left\| \cdot \right\|)$をノルム空間とする。$X$の数列$\left\{ \mathbf{x}_{k}\right\}_{k\in \mathbb{N}}$に対して、部分和を以下のように定義しよう。

$$ \mathbf{S}_{N} := \sum \limits_{k=1}^{N}\mathbf{x}_{k} $$

部分和$\mathbf{S}_{N}$の極限が$\mathbf{x} \in X$である場合、つまり下の式

$$ \lim \limits_{N\to \infty}\left\| \mathbf{x}-\sum \limits_{k=1}^{N}\mathbf{x}_{k} \right\|=0 $$

を満たしているならば、無限級数$\sum_{k=1}^{\infty}\mathbf{x}_{k}$は$\mathbf{x}$に収束すると言い、以下のように記される。

$$ \mathbf{x}=\sum \limits_{k=1}^{\infty}\mathbf{x}_{k} $$

説明

有限次元を越えて無限次元ベクトル空間の基底について話すために必要な過程だ。収束について話すためには、$X$はノルム空間である必要がある。無限次元ベクトル空間の生成も有限次元ベクトル空間の生成と似て定義される。

生成

定義

ノルム空間$X$の数列$\left\{ \mathbf{x}_{k} \right\}_{k \in \mathbb{N}}$が与えられているとしよう。この時$\left\{ \mathbf{x}_{k} \right\}_{k\in \mathbb{N}}$の生成を次のように定義する。

$$ \text{span}\left\{ \mathbf{x}_{k} \right\}_{k\in \mathbb{N}}:= \left\{ c_{1}\mathbf{x}_{1}+\cdots+c_{N}\mathbf{x}_{N} : N\in \mathbb{N},\ c_{1},\dots,c_{N}\in \mathbb{C} \right\} $$

説明

つまり、全ての$N\in \mathbb{N}$に対して可能な全ての線形結合の集合である。

級数の収束とスパンについて、次の性質が成り立つ。

性質

それぞれの$\mathbf{x} \in X$に対して

$$ \begin{equation} \mathbf{x}= \sum \limits_{k=1}^{\infty} c_{k} \mathbf{x}_{k}\end{equation} $$

と表せる場合、次の式が成立する。

$$ \begin{equation} \overline{\text{span}} \left\{ \mathbf{x}_{k} \right\}_{k\in \mathbb{N}} =X \end{equation} $$

説明

$(2)$が成立するならば、$\left\{ \mathbf{x}_{k} \right\}_{k\in \mathbb{N}}$は$X$の完全な数列またはトータルな数列と呼ばれる。また、トータルな数列を持つノルム空間$X$は分離可能であると言われる。

一方で、$(1) \implies (2)$は成立するが、逆は成立しない。つまり、$(1)\quad \!\! \not \!\!\!\! \impliedby (2)$である。


  1. Ole Christensen, Functions, Spaces, and Expansions: Mathematical Tools in Physics and Engineering (2010), p40-41 ↩︎