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テスト関数の空間がシュワルツ空間の真部分集合であることの証明 📂シュワルツ超函数

テスト関数の空間がシュワルツ空間の真部分集合であることの証明

定理1

D\mathcal{D}テスト関数空間S\mathcal{S}シュワルツ空間とする。それでは以下の式が成り立つ。

DS \mathcal{D} \subsetneq \mathcal{S}

証明

戦略: まず、全てのテスト関数がシュワルツ空間に属していることを示し、次にテスト関数ではないシュワルツ関数の例を示すことによって証明する。

シュワルツ関数

ϕ\phiを以下の二つの条件を満たすとき、シュワルツ関数と定義する。

  • (a) ϕC\phi \in C^{\infty}
  • (b) 全てのマルチインデックス α\alphaβ\betaに対して、xβDαϕ(x)<\left| x^{\beta}D^{\alpha}\phi (x) \right| <\infty

任意のテスト関数 ϕ\phiが与えられたとしよう。ϕCc\phi \in C_{c}^{\infty}であるため、条件 (a) を満たす。ϕ\phiサポート有界であるため、以下の式を満たすr>0r>0が存在する。

suppϕB(r) \mathrm{supp}\phi \subset \overline{B}(r)

ここで、B(r)\overline{B}(r)は原点を中心とし、半径がrr閉球である。さらに、テスト関数の性質により、任意のマルチインデックス α\alphaに対して以下の式が成立する。

suppDαϕsuppϕB(r) \mathrm{supp}D^{\alpha}\phi\subset \mathrm{supp}\phi \subset \overline{B}(r)

以下の二つの場合に分けて考える。

  • ケース 1. xB(r)x \notin \overline{B}(r)

    するとDαϕ(x)=0D^{\alpha}\phi (x)=0であり、

    xβDαϕ(x)=0< \left| x^{\beta}D^{\alpha}\phi (x) \right|=0 <\infty

  • ケース 2. xB(r)x \in \overline{B}(r)

    Dαϕ(x)D^{\alpha}\phi (x)は連続関数であり、連続関数はコンパクト空間で最大値、最小値を取るので、ある正の数K>0K>0に対して以下の式が成り立つ。

    xβDαϕ(x)rβK< \left| x^{\beta}D^{\alpha}\phi (x) \right|\le r^{\beta}K <\infty

    したがってϕS\phi \in \mathcal{S}であるから、DS\mathcal{D}\subseteq \mathcal{S}が成立する。今、以下のような関数を考えよう。

    ϕ(x)=ex2 \phi (x)=e^{-x^{2}}

    するとϕC\phi \in C^{\infty}は自明である。しかし、ϕ(x)0,xR\phi (x)\ne0, \forall x\in \mathbb{R}であるため、ϕ\phiはコンパクトサポートを持てない。したがってϕ\phiはテスト関数ではない。今、ϕS\phi \in \mathcal{S}を示せば証明は完了する。連鎖律により、DαϕD^{\alpha}\phiϕ\phiと任意の多項式PPの積で表すことができる。

    Dαϕ(x)=P(x)ϕ(x) D^{\alpha}\phi (x) = P(x)\phi (x)

    したがって、以下の式が成立する。

    xβDαϕ(x)=xβP(x)ex2 \begin{equation} \left| x^{\beta}D^{\alpha}\phi (x) \right| =\frac{\left| x^{\beta}P(x) \right| }{e^{x^{2}}} \label{eq1} \end{equation}

    分子が多項式で、分母が指数関数であるため、以下の式が成立する。

    limx±xβP(x)ex2=0 \lim \limits_{x\to \pm\infty} \frac{\left| x^{\beta}P(x) \right| }{e^{x^{2}}}=0

    よって、全てのε>0\varepsilon >0に対して、以下の式が成立するN>0N>0が存在する。

    x>N    xβP(x)ex2<ε \left| x \right| > N \implies \frac{\left| x^{\beta}P(x) \right| }{e^{x^{2}}} < \varepsilon

    今、xN\left| x \right| \le Nの場合を考えよう。[N,N][-N,N]コンパクトであり、(eq1)\eqref{eq1}は連続関数なので、ある正の数M>0M>0によってバウンドされる。今、Cα,β=max{M,ε}C_{\alpha,\beta}=\max \left\{ M,\varepsilon \right\}とすると、以下が成立する。

    xβDαϕ(x)Cα,β \left| x^{\beta}D^{\alpha}\phi (x) \right| \le C_{\alpha,\beta}

    したがって、ϕS\phi \in \mathcal{S}である。したがってϕD\phi \notin \mathcal{D}であり、ϕS\phi \in \mathcal{S}であるため、以下が成立する。

    DS \mathcal{D} \subsetneq \mathcal{S}


  1. Daniel Eceizabarrena perez, Distribution Theory and Fundamental Solutions of Differential Operators (2015), p16-17 ↩︎