超関数の畳み込みの補題
概説1
$F$を超関数、$\phi,\psi$をテスト関数としよう。すると$F \ast \phi$は実数空間で定義された関数であり、局所可積分である。従って、$F \ast \phi$に対応する正則超関数 $T$が次のように存在する。
$$ T_{F \ast \phi}(\psi)=F(\tilde{\phi} \ast \psi) $$
ここで、$\tilde{\phi}(x)=\phi (-x)$である。
説明
‘超関数の畳み込み補助定理’という名前は、上記の内容に特につけられた名称がないため、適当に付けたものである。
証明
ケース1. $F$が正則超関数である場合
$F$に対応する$f \in L_{\mathrm{loc}}^{1}$が存在する。
$$ F (\phi) = F_{f} (\phi) = \int f(x)\phi (x) dx $$
従って、次の式が成り立つ。
$$ \begin{align*} T_{F \ast \phi}(\psi) &= \int (F*\phi)(x)\psi (x)dx \\ &=\int F(\tilde{\phi}_{x})\psi (x) dx \\ &= \int \int f(y)\tilde{\phi}(y-x)dy\psi (x)dx \\ &= \int f(y)\int\tilde{\phi}(y-x)\psi (x)dxdy \\ &= \int f(y)(\tilde{\phi} \ast \psi)(y)dy \\ &= F(\tilde{\phi} \ast \psi) \end{align*} $$
ケース2. $F$が正則超関数ではない場合
$\tilde{\phi}, \psi \in C^{\infty}$であるため、$\tilde{\phi} \ast \psi$はリーマン積分可能である。すると、以下のように積分を無限級数で近似することができる。
$$ \tilde{\phi} \ast \psi (y)= \int \tilde{\phi}(x-y)\psi (x)dy=\lim \limits_{n\to \infty} \sum \limits _{i=1} ^{n}\phi (x_{i}-y)\psi_ {x_{i}}\Delta x_{i} $$
したがって、次が成り立つ:
$$ \begin{align*} F(\tilde{\phi} \ast \psi) &= F \left( \lim \limits_{n\to \infty} \sum \limits _{i=1} ^{n}\phi (x_{i}-\cdot)\psi_{x_{i}}\Delta x_ {i} \right) \\ &=\lim \limits_{n\to \infty} F \left( \sum \limits _{i=1} ^{n}\phi (x_{i}-\cdot)\psi_{x_{i}}\Delta x_{i} \right) \\ &=\lim \limits_{n\to \infty} \sum \limits _{i=1} ^{n}F \left( \phi (x_{i}-\cdot) \right)\psi_{x_{i}}\Delta x_{i} \\ &=\lim \limits_{n\to \infty} \sum \limits _{i=1} ^{n} (F \ast \phi)(x_{i}) \ast \psi_{x_{i}}\Delta x_{i} \\ &= \int F \ast \phi (x)\psi (x)dx \\ &=T_{F \ast \phi}(\psi) \end{align*} $$
2番目の等号は超関数の連続性により、3番目の等号は線形性により成り立つ。
■
ジェラルド・B・フォランド, フーリエ解析及びその応用 (1992), p318 ↩︎