超関数の微分は弱収束に対して連続である
定理1
超函数の微分は、弱収束に対して連続である。つまり、$T_{k}$が$T$に弱収束するとき、$\partial ^{\alpha} T_{k}$も$\partial ^{\alpha}T$に弱収束する。
$$ T_{k} \to T \quad \text{weakly} \implies \partial ^{\alpha} T_{k}\to \partial ^{\alpha}T \quad \text{weakly} $$
このとき、$\alpha$は任意のマルチインデックスである。
説明
超函数の微分が弱収束に対して連続であるということは、弱収束に関する連続性の条件を満たしているという意味だ。
$$ \lim \limits_{n\to \infty} f(p_{n})=f(p),\quad \forall \left\{ p_{n} \right\} \text{s.t.} \lim_{n \to \infty}p_{n}=p $$
超函数にとってこの事実が意味を持つのは、点収束や一様収束に対しては成立しないからである。
$$ f_{k} \to f \quad \text{pointwise or uniformly} \not \!\!\! \implies f^{\prime}_{k}\to f^{\prime} \quad \text{pointwise or uniformly} $$
つまり、$f$に収束するある函数列$f_{k}$に対して、$f^{\prime}_{k}$が$f^{\prime}$に収束するとは限らない。しかし、弱収束の場合には、これを保証できるということがポイントだ。
証明
超函数列$T_{k}$が$T$に弱収束すると仮定しよう。超函数微分の定義により、任意のテスト関数$\phi$に対して、次が成立する。
$$ \left( \partial ^{\alpha} T_{k} \right)(\phi) = \left( -1 \right)^{\left| \alpha \right| }T_{k}(\partial ^{\alpha} \phi) $$
両辺に極限$\lim \limits_{k \to \infty}$をとると、仮定により次のようになる。
$$ \begin{align*} \lim \limits_{k \to \infty}\left( \partial ^{\alpha} T_{k} \right)(\phi) &= \lim \limits_{k \to \infty}\left( -1 \right)^{\left| \alpha \right| }T_{k}(\partial ^{\alpha} \phi) \\ &= \left( -1 \right)^{\left| \alpha \right| }T(\partial ^{\alpha} \phi) \\ &= \left( \partial ^{\alpha}T \right)(\phi) \end{align*} $$
したがって、次が成立する。
$$ \partial ^{\alpha} T_{k}\to \partial ^{\alpha}T \quad \text{weakly} $$
ゆえに、$T_{k}$が$T$に弱収束すると、$\partial ^{\alpha} T_{k}$が$\partial ^{\alpha}T$に弱収束する。
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Gerald B. Folland, Fourier Analysis and Its Applications (1992), p315 ↩︎