塩基配列の上流と下流
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塩基配列の方向は、上の図のように糖の炭素原子の位置に番号をつけることで表すことができる。RNAとDNAは具体的に、3番炭素$3’$と5番炭素$5’$がリン酸エステル結合phosphodiester Bondを形成することで鎖構造を作る。たとえば、四つの塩基が炭素の位置とともに次のように与えられているとしよう。
$$ 3’C5’ \\ 5’A3’ \\ 5’G3’ \\ 5’T3’ $$
これらが適切にリン酸エステル結合を形成すると、その一例として
$$ 5’C3'5’A3'5’G3'5’T3’ $$
のような鎖構造になるものである。
[ 注記: $5’C3’$は結合のために向きが反転している。] ここで、鎖構造があるならば、3番炭素$3’$と5番炭素$5’$が結合しているという意味なので、省略しても構わない。簡潔に整理すると、 $$ 5’CAGT3’ $$ のように記せるだろう。見ての通り、核酸塩基の片方の端は必ず$5’$であり、反対側の端は必ず$3’$になる。細胞内でDNAに関連するほとんどの反応は5’から$3’$に向かって下っていくので、塩基配列の方向は、これら二つの末端の炭素を確認することによって決定される。
定義
塩基配列で、$5’$を上流upstream、$3’$を下流downstreamという。
- このような概念から上流と下流の命名は非常に自然と言えるだろう。普通、私たちが文章を読む時は左から右へ読むように、塩基配列も上流から下流に向かって流れながら読まれるため、上流を左に、下流を右に置くことになる2。
訳:ジョ・ジェチャン、Dan E. Krane, Michael L. Raymer. (2007). 生命情報学(Fundamental Concepts of Bioinformatics): p3〜7 ↩︎