調整過飽和
定義1
シュワルツ空間の連続する線形汎関数 $T:\mathcal{S}(\mathbb{R}^{n}) \to \mathbb{C}$を調整された超関数tempered distributionと言う。つまり、調整された超関数はシュワルツ空間の双対空間の要素である。従って、
$$ T \in \mathcal{S}^{ \ast } $$
と表記され、$\mathcal{S}^{ \ast }$は調整された超関数空間space of tempered distributionと呼ばれる。
説明
調整された超関数 $T$は線形なので次のが成り立つ。
$$ T(a\phi + b \psi) = aT(\phi) + bT(\psi)\quad \left( \phi,\psi \in \mathcal{S}(\mathbb{R}^{n}),\ a,b\in\mathbb{C} \right) $$
また連続なので次のも成り立つ。
$$ \left\{ \phi _{n} \right\} \to \phi \in \mathcal{S}(\mathbb{R}^{n}) \implies \left\{ T(\phi_{n}) \right\} \to T(\phi) \quad \left( \phi_{n},\phi \in \mathcal{S}(\mathbb{R}^{n})\right) $$
超関数の場合、定義域の要素であるテスト関数がコンパクトサポートを持っていたため、値がどれだけ早く大きくなっても関係なかった。しかし、シュワルツ関数はテスト関数と異なり、コンパクトサポートを持たないので、調整された超関数が早く大きくなりすぎることは許されない。temperedという名称はこの意味から来ており、同じ理由で調整された超関数はslow growthの分布とも呼ばれる。
Gerald B. Folland, Fourier Analysis and Its Applications (1992), p331-332 ↩︎