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偏微分方程式

定義1

偏微分方程式

自然数kNk \in \mathbb{N}と、開集合URnU \subset \mathbb{R}^{n}に対して、次の表現を**kk次の偏微分方程式**と呼ぶ。

F(Dku(x),Dk1u(x),,Du(x),u(x),x)=0(xU) \begin{equation} F(D^{k}u(x), D^{k-1}u(x),\cdots,Du(x),u(x),x)=0\quad (x\in U) \end{equation}

ここで、DkuD^{k}u多重指数表記である。FFは次のように与えられ、未知数uuは次のようである。

F:Rnk×Rnk1××Rn×R×URu:UR F : {\mathbb{R}}^{n^{k}}\times{\mathbb{R}}^{n^{k-1}}\times \cdots \times \mathbb{R}^{n}\times \mathbb{R}\times U \to \mathbb{R} \\ u : U \to \mathbb{R}

偏微分方程式の連立

与えられたF:Rmnk×Rmnk1××Rmn×Rm×URm\mathbf{F} : {\mathbb{R}}^{mn^{k}}\times{\mathbb{R}}^{mn^{k-1}}\times \cdots \times \mathbb{R}^{mn}\times \mathbb{R}^{m}\times U \to \mathbb{R}^{m}と未知数u:URm\mathbf{u}:U \to \mathbb{R}^{m}u=(u1,,um)\mathbf{u}=(u^{1},\cdots,u^{m})に対して、下記の表現

F(Dku(x),Dk1u(x),,Du(x),u(x),x)=0(xU) \mathbf{F}(D^{k}\mathbf{u}(x),D^{k-1}\mathbf{u}(x),\cdots,D\mathbf{u}(x),\mathbf{u}(x),x)=\mathbf{0}\quad (x\in U)

を**kk次の偏微分方程式システム**と呼ぶ。

説明

偏微分方程式は、よくPDEと略される。PDEを解くことは、(1)(1)を満たすuuを全て見つけ出すことを意味し、そのようなuuソリューションと呼ぶ。

ソリューションを見つけることは、

  1. 理想的には、簡単で明示的なソリューションを見つけることを意味する、
  2. それが不可能なときは、解の存在や他の特徴を明らかにすることを意味する。

ほとんどの場合、偏微分方程式でのU,ΩRnU, \Omega \subset \mathbb{R}^{n}は開集合を意味し、変数ttは常に時間を意味し、t0t\ge 0である。また、

Du=Dxu=(ux1,,uxn) Du=D_{x}u=(u_{x_{1}},\cdots,u_{x_{n}})

uuグラディエントを意味する。このとき、x=(x1,,xn)x=(x_{1},\cdots,x_{n})である。

分類

偏微分方程式は、線形性に基づいて以下のように分類できる。

線形

偏微分方程式(1)(1)が、与えられた関数aα,fa_{\alpha}, fに対して、次の式を満たす場合、線形と言われる。

αkaα(x)Dαu=f(x) \sum _{| \alpha | \le k} a_{\alpha}(x) D^{\alpha} u = f(x)

f=0f=0の場合、同質の線形PDEと呼ぶ。線形ではない場合、非線形と呼ぶ。2次の線形偏微分方程式はさらに以下のように分類される。

半線形

偏微分方程式(1)(1)が次を満たす場合、半線形と呼ぶ。

α=kaα(x)Dαu+a0(Dk1u,,Du,u,x)=0 \sum _{| \alpha | = k} a_{\alpha}(x) D^{\alpha} u + a_{0}\left( D^{k-1}u, \dots, Du, u, x \right) = 0

言い換えると、半線形pdeは、オーダーがkk最も高いオーダーの導関数の係数がxxにのみ依存する偏微分方程式を意味する。例としては、

  • 反応-拡散方程式 utΔu=f(u)(e.g. f(u)=u2) u_{t} - \Delta u = f(u) \qquad (\text{e.g. } f(u) = u^{2})

準線形

偏微分方程式(1)(1)が次を満たす場合、準線形と呼ぶ。

α=kaα(Dk1u,,Du,u,x)Dαu+a0(Dk1u,,Du,u,x)=0 \sum _{| \alpha | = k} a_{\alpha}(D^{k-1}u, \dots, Du, u, x)D^{\alpha} u + a_{0}\left( D^{k-1}u, \dots, Du, u, x \right) = 0

例としては、

完全非線形

準線形ではない非線形方程式を完全非線形と言う。


  1. Lawrence C. Evans, Partial Differential Equations (2nd Edition, 2010), p1-3 ↩︎