解析学におけるスプライン、B-スプライン
定義1
関数 $f:\mathbb{R} \to \mathbb{R}$ が 区間ごとの多項式piecewise polynomialである場合、$f$を $\mathbb{R}$上の スプラインsplineと呼ぶ。多項式が変わる点を ノットknotという。
説明
定義からわかるように、スプラインが連続関数である必要はない。以下の関数 $f$はスプラインの一例である。
$$ f(x) = \begin{cases} 0 & x\in[\infty,0] \\ 2x^{2}&x\in(0,1] \\ 2-x & x\in (1,4] \\ \frac{1}{16}x^{3} & x\in(4,\infty] \end{cases} $$
上の場合で、$x=0$、$x=1$、$x=4$がノットである。B-スプラインはスプラインの中で良い特徴を持つものである。$B$-B-スプライン $N_{1}$を以下のように区間$[0,1]$上の特性関数を用いて定義する。
$$ N_{1}(x) :=\chi_{[0,1]}(x)\quad , x\in \mathbb{R} $$
そして、$m \in \mathbb{N}$に対してB-スプライン $N_{m+1}$を以下のように定義する。
$$ \begin{equation} N_{m+1}(x) := (N_{m} * N_{1})(x)\end{equation} $$
この時、$\ast$は畳み込みである。$m$をB-スプライン $N_{m}$のオーダーorderと言う。定義 $(1)$により、次が成り立つ。
$$ \begin{align*} N_{m} &= N_{m-1} \ast N_{1} \\ &= N_{m-2} \ast N_{1} \ast N_{1} \\ &= N_{m-3} \ast N_{1} \ast N_{1}\ast N_{1} \\ &= \underbrace{N_{1} \ast N_{1} \ast N_{1} \cdots \ast N_{1}}_{m} \end{align*} $$
また、$N_{1}$と畳み込みの定義により、下の式が成り立つことがわかる。
$$ N_{m+1}(x)=\int _{-\infty} ^{\infty}N_{m}(x-t)N_{1}(t)dt=\int_{0}^{1}N_{m}(x-t)dt $$
下の画像は左から$N_{2}$、$N_{3}$のグラフを描いたものである。
性質
オーダーが$m\in \mathbb{N}$のB-スプラインは次のような性質を持つ。
(a) $\mathrm{supp}N_{m}=[0,m]$ $\text{and}$ $N_{m}(x)>0 \text{ for } x\in(0,m) $
(b) $\displaystyle \int _{-\infty} ^{\infty} N_{m}(x)dx=1$
(c) $m\ge 2$に対して、下の式が成り立つ。
$$ \begin{equation} \sum \limits_{k \in \mathbb{Z}} N_{m}(x-k)=1,\quad \forall x\in \mathbb{R} \end{equation} $$
(c’) $m=1$の時、上の式は$x\in \mathbb{R}\setminus \mathbb{Z}$に対して成り立つ。
参照
Ole Christensen, Functions, Spaces, and Expansions: Mathematical Tools in Physics and Engineering (2010), p203-204 ↩︎