ポアンカレの再帰定理の証明
📂動力学ポアンカレの再帰定理の証明
定理
ユークリッド空間で定義された多次元マップ g:Rn→Rn が単射であり、かつ連続であり、D⊂Rn がコンパクト不変集合、言い換えれば g(D)=D だとしよう。任意のx∈Dの任意の近傍をU とすると、あるn∈に対してgn(x)∈Uとなるようなx∈Uが存在する。
説明
ステートメントは単純だ。Dがコンパクト不変集合なら、その中でUを選んだ時、一時的にUを離れることはできないが、最終的にはその場所に戻ってくるタイミングがあるということだ。これは一回、二回、三回… と続けて適用できるので、どれだけgがUを離れても必ずUに帰ってくる。
証明
以下のようにUにgを繰り返し適用することを考えよう。
U,g(U),g2(U),⋯,gn(U),⋯
前提でgは単射だったので、これらは体積を正確に保持する。これらが重ならなければ、これらを含むDは無限の体積を持つことになる。しかし、前提でDはコンパクトなので、あるk>lに対して
gk(U)∩gl(U)=∅
逆像を取ると
gk−l(U)∩U=∅
よって、n:=k−lに対して、x∈Uとgn(x)∈Uを同時に満たすxが存在する。
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