距離空間における連結集合
定義
距離空間 $X$ の二つの部分集合 $A$ と $B$が
$$ A \cap \overline{B}= \varnothing \quad \text{and} \quad \overline{A}\cap B= \varnothing $$
を満たすとき、$A$ と $B$ は分離していると言う。つまり、$B$ の閉包に含まれる $A$ の点がなく、$A$ の閉包に含まれる $B$の点がないという意味だ。部分集合 $E \subset X$ が空集合ではない分離された二つの集合の合併として表されない場合、$E$ は連結していると言う。
この定義をよく考えてみると、「連結している」とは「明確に重なる集合の合併として表される集合」を表すために作られた概念であることがわかる。
定理
$E \subset \mathbb{R}$ に対して、以下の二つの命題は同値である。
(a) $E$ は連結集合である。
(b) $x ,y\in E$ かつ $x<z<y$ ならば、$z \in E$ である。
証明
(a) $\Longrightarrow$ (b)
対偶法によって証明する。つまり、$z\notin E$ ならば $E$ は非連結集合であることを示す。$z\notin E$ と仮定する。二つの部分集合 $A_{z}$ と $B_{z}$ を次のようにする。
$$ A_{z}=E\cap (-\infty,z),\quad B_{z}=E\cap(z,\infty) \tag{1} $$
すると
$$ E=A_{z}\cup B_{z} $$
が成立する。さらに、$(1)$ により $x\in A_{z}$ と $y \in B_{z}$ なので二つの集合は空集合ではない。同様に、$(1)$ により $$ A_{z}\cap \overline{B_{z}}=\varnothing,\quad \overline{A_{z}}\cap B_{z}=\varnothing $$ であるので、$A_{z}$ と $B_{z}$ は分離している。$E$ が空集合ではない分離された二つの集合の合併として表されるので、定義により $E$ は非連結集合である。
(a) $\Longleftarrow$ (b)
同様に、対偶法によって証明する。つまり、$E$ が非連結ならば $z\notin E$ であることを示す。$E$ が非連結であると仮定する。すると、定義によって $E=A \cup B$ を満たす空集合ではない分離された二つの集合 $A$ と $B$ が存在する。$A$ と $B$ は空集合ではないので、任意の $x\in A$ と $y\in B$ を選ぶことができる。一般性を失わずに、$x<y$ とする。そして、$z$ を次のようにする。
$$ z =\sup (A\cap [x,y]) $$
$$ z \in \overline{A\cap [x,y]} \subset \overline{A} $$
すると、仮定によって $A$ と $B$ が分離しているので、$z \notin B$ である。ここで二つの場合を考える。
case 1. $z \notin A$
$z \notin A$ と $z \notin B$ と $E=A \cup B$ のため、$z\notin E$ である。
case 2. $z\in A$
仮定によって $A$ と $B$ が分離しているので、$z \notin \overline{B}$である。従って、証明過程での $x$ を $z$ としておくと
$$ z<z_{1}<y,\quad z_{1}\notin B $$
を満たす $z_{1}$ が存在し、$x<z_{1}<y$ と $z_{1}\notin E$ を満たすことがわかる。
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定理2 (2a)、定理4 参照 ↩︎