グリーンの定理の証明
📂微分積分学グリーンの定理の証明
定理
平面 S=[a,b]×[c,d] 上で反時計回りに単純かつスムーズな閉曲線を描く C としよう。関数 P,Q:R2→R が C 上で連続であり、その導関数も連続であれば、
∫C(Pdx+Qdy)=∬S(Qx−Py)dxdy
説明
線積分を面積分に変換する定理として考えられる。平面に限定したケルビン・ストークス定理の系として広く知られている。より一般化された定理が存在するにもかかわらず、その名前が残される限り、多くの分野でその地位を失っていない定理である。
証明
I1:=∫CPdxI2:=∫CQdy
とすると、
∫C(Pdx+Qdy)=I1+I2
となる。まず I1 から求めよう。

I1 を計算する領域は上のように表されるだろう。この時、C を囲む領域は、
S={(x,y)∈R ∣ a≤x≤b,y1(x)≤y≤y2(x)}
であるため、
I1=====∫CPdx∫abP(x,y1(x))dx+∫baP(x,y2(x))dx−∫ab{P(x,y2(x))−P(x,y1(x))}dx−∫ab∫y1(x)y2(x)∂y∂P(x,y)dydx−∬SPydydx
次に I2 を求めよう。通常、このような証明では「同じ方法で求めることができる」と終わることが多いが、グリーンの定理では、直接計算しなければならない。方法は似ているが、結果的に符号が反対方向になるため、必ず確認するようにしよう。

I2 を計算する領域は上のように表されるだろう。この時、C を囲む領域は、
S={(x,y)∈R2 ∣ c≤y≤d,x1(y)≤x≤x2(y)}
であるため、
I2======∫CQdy∫dcQ(x1(y),y)dy+∫cdQ(x2(y),y)dy∫cdQ(x2(y),y)dy−∫cdQ(x1(y),y)dy∫cd{Q(x2(y),y)dy−Q(x1(y),y)}dy∫cd∫x1(x)x2(x)∂x∂Q(x,y)dxdy∬SQxdxdy
I2 と I1 の結果を足すと、
∫C(Pdx+Qdy)=I2+I1=∬SQxdxdy−∬SPydydx
フビニの定理:R:[a,b]×[c,d] とする。f(x,⋅) が [c,d] 上で、f(⋅,y) が [a,b] 上で、f が R 上で積分可能であれば、
∬RfdA=∫ab∫cdf(x,y)dydx=∫cd∫abf(x,y)dxdy
前提条件から P の導関数 Py も連続であるため積分可能であり、フビニの定理を適用できる。積分の順序を次のように変えると、
∬SPydydx=∬SPydxdy
そして積分順序を dxdy に統一すると、
∫C(Pdx+Qdy)=∬S(Qx−Py)dxdy
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上では長方形 S について示したが、これを小さな正方形 [α,α+ε]×[β,β+ε] に特殊化し、さらに一般的な有界領域 R を一辺の長さが ε の小さな正方形に分割し、ε→0 で極限をとると、次のような一般化された定理を簡単に得ることができる。
条件や表現は異なるかもしれないが、本質的には大きな違いはない。一般化に意味を置くよりも、教科書によって詳細が異なる程度で受け入れて進むとよい。
一般化
R で定義された2つの関数 P,Q が R 上で微分可能であれば、
∫C(Pdx+Qdy)=∬R(Qx−Py)dxdy
- 曲線 C2 は2回微分可能で、その導関数も全て微分可能である。
参照