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エルミート関数 📂関数

エルミート関数

定義

エルミート関数は以下のように定義される。 $$ \begin{align} y_{n} &= \left( D-x \right)^{n} e^{-\frac{x^{2}}{2}} \\ &=e^{\frac{x^{2}}{2}} D^{n} e^{-x^{2}} \end{align} $$ ここで$D=\frac{d}{dx}$は微分演算子である。

説明

エルミート関数は微分方程式 $$ y_{n}^{\prime \prime}-x^{2}y_{n}=-(2n+1)y_{n},\quad n=0,1,2,\cdots $$ の解であり、物理学では1次元調和振動子のシュレディンガー方程式の解である。つまり1次元調和振動子の波動関数である。$(1)$は微分方程式を解いて直接得られる。$(2)$が$(1)$と同じであることは、次の定理を通じて容易に示すことができる。

定理

任意の$f(x)$に対して $$ \begin{align} (D-x)^{n}f(x)=e^{\frac{x^{2}}{2}}D^{n}\left[ e^{-\frac{x^{2}}{2}}f(x) \right] ,\quad n=0,1,2,\cdots \end{align} $$ が成り立つ。

この式が成り立つならば、$f(x)=e^{-\frac{x^{2}}{2}}$を代入することによって、$(1)$と$(2)$が同じであることを示すことができる。

証明

  • Part 1 $n=0$の場合が成り立つことの証明 $$ (D-x)^{0}f(x)=f(x)=e^{\frac{x^{2}}{2}}D^{0}\left[ e^{-\frac{x^{2}}{2}}f(x) \right] $$

  • Part 2 $n$の場合に成り立つならば$n+1$の場合も成り立つことの証明

    $n$の場合に成り立つと仮定する。それならば$n+1$の場合、$(3)$の右辺は $$ \begin{align*} e^{\frac{x^{2}}{2}}D^{n+1} \left[ e^{-\frac{x^{2}}{2}}f(x) \right] &=e^{\frac{x^{2}}{2}}D^{n} D\left[ e^{-\frac{x^{2}}{2}}f(x) \right] \\ &=e^{\frac{x^{2}}{2}}D^{n} \left[ -xe^{-\frac{x^{2}}{2}}f(x) +e^{-\frac{x^{2}}{2}}Df(x)\right] \\ &=e^{\frac{x^{2}}{2}}D^{n} \left[ e^{-\frac{x^{2}}{2}}(D-x)f(x) \right] \end{align*} $$ ここで$(D-x)f(x)=g(x)$と置換すると $$ \begin{align*} e^{\frac{x^{2}}{2}}D^{n+1} \left[ e^{-\frac{x^{2}}{2}}f(x) \right] &=e^{\frac{x^{2}}{2}}D^{n} \left[ e^{-\frac{x^{2}}{2}}(D-x)f(x) \right] \\ &=e^{\frac{x^{2}}{2}}D^{n} \left[ e^{-\frac{x^{2}}{2}}g(x) \right] \\ &= (D-x)^{n}g(x) \\ &= (D-x)^{n}(D-x)f(x) \\ &= (D-x)^{n+1}f(x) \end{align*} $$ 三つ目の等号は、$n$の場合に成り立つと仮定しているので成り立つ。

  • Part 3.

    $n=0$の場合に成り立ち、$n$の場合に成り立つならば、$n+1$の場合も成り立つので、数学的帰納法により、全ての$n=0,1,2,\cdots$に対して$(3)$が成り立つ。