L2空間における変換:平行移動、変調、拡大
📂ルベーグ空間L2空間における変換:平行移動、変調、拡大
定義
- a∈Rに対して、以下のように定義されるTa:L2→L2をトランスレーションtranslation, 平行移動と言う。
(Taf)(x):=f(x−a)
- b∈Rに対して、以下のように定義されるEb:L2→L2をモジュレーションmodulation, 変調と言う。
(Ebf)(x):=e2πibxf(x)
- c>0に対して、以下のように定義されるDc:L2→L2をダイレーションdilation, 膨張と言う。
(Dcf)(x):=c1f(cx)
説明
上記の線型演算子はL2空間でよく使われるものだ。韓国語ではそれぞれ平行移動(translation)、変調(modulation)、膨張(dilation)と翻訳されるけれど、数式的に理解するには英語で直接読む方が楽だろう。
モジュレーションで掛けられるe2πibxは文字通り抽象化された回転だ。
ダイレーションで掛けられるc1は、ノルム∥⋅∥2に合わせるためにルートが掛けられているとも見れる。特にc=1/2に対して、以下のように定義されるDは特別な役割をすることもある。
(Df)(x):=2f(2x)
便宜上、Dはj∈Zに関して、以下のように書かれる。
(Djf)(x):=2jf(2jx)
性質
全てのa,b∈R、c>0及びf,g∈L1に対して、
Ta,Eb,Dcは有界線型演算子だ。
逆演算子:Ta,Eb,Dcはユニタリだ。
交換関係:
(TaEbf)(x)=e−2πiba(EbTaf)(x)(TaDcf)(x)=(DcTa/cf)(x)(DcEbf)(x)=(Eb/cDcf)(x)
フーリエ変換との関係:
FTa=E−aFFEb=TbFFDc=D1/cF
Dに関しては、上の定理の系としてj,k∈Zについて、以下を得ることができる。
TkDj=DjT2jkDjTk=T2−jkDj(Dj)∗=D−j
証明
1.
Part 1. 線型
全てのf,g∈L2及びα,β∈Cに対して、
Ta(αf+βg)(x)===(αf+βg)(x−a)αf(x−a)+βg(x−a)αTaf(x)+βTag(x)
だからTaはリニアだ。
Eb(αf+βg)(x)===e2πibx(αf+βg)(x)αe2πibxf(x)+βe2πibxg(x)αEbf(x)+βEbg(x)
だからEbはリニアだ。
Dc(αf+βg)(x)===c1(αf+βg)(cx)αc1f(x)+βc1g(x)αDcf(x)+βDcg(x)
だからDcはリニアだ。
Part 2. 有界
t:=x−aのように置換すると、
∥Taf∥2====∫−∞∞∣Taf(x)∣2dx∫−∞∞∣f(x−a)∣2dx∫−∞∞∣f(t)∣2dt∥f∥2
だからTaはバウンデッドだ。e2πibx=1なので、
∥Ebf∥2====∫−∞∞∣Ebf(x)∣2dx∫−∞∞e2πibxf(x)2dx∫−∞∞1⋅∣f(t)∣2dt∥f∥2
だからEbはバウンデッドだ。t:=x/cのように置換すると、
∥Dcf∥2=====∫−∞∞∣Dcf(x)∣2dx∫−∞∞c1f(cx)2dx∫−∞∞c1∣f(t)∣2cdt∫−∞∞∣f(t)∣2dt∥f∥2
だからDcはバウンデッドだ。
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