ヒルベルト空間の正規直交基底とユニタリ作用素
📂ヒルベルト空間ヒルベルト空間の正規直交基底とユニタリ作用素
定義
ヒルベルト空間 H の シャウダー基底 {ek}k∈N が 正規直交系 である場合、{ek}k∈N を H の 正規直交基底orthonormal Basis と呼ぶ。
定理
正規直交基底の同値条件
- [1]: H が ヒルベルト空間 だとする。H の 正規直交系 {ek}k∈N⊂H に対して、以下はすべて 同値 である。
- (i): {ek}k∈N⊂H は H の 正規直交基底 である。
- (ii): すべての x∈H に対して
x=k∈N∑⟨x,ek⟩ek
- (iii): すべての x,y∈H に対して
⟨x,y⟩=k∈N∑⟨x,ek⟩⟨ek,y⟩
- (iv): すべての x∈H に対して
k∈N∑∣⟨x,ek⟩∣2=∥x∥2
- (v): span{ek}k∈N=H
- (vi): x∈H で、すべての k∈N に対して ⟨x,ek⟩=0 ならば x=0
ユニタリ作用素と正規直交基底
- [2]: {ek}k∈N を H の正規直交基底とする。すると、H の正規直交基底は、ユニタリ作用素 U:H→H に関して、正確に {Uek}k∈N として表される。
説明
特に、定理 [2] のような結果を持って、H のすべての正規直交基底がユニタリ作用素 U によって 特徴付けられる と言う。
証明
[1] の証明は参考文献を参照。
[2]
{vk}k∈N もまた、H の正規直交基底とする。作用素 U:H→H を次のように定義する:
U(k∈N∑ckek):=k∈N∑ckvk,∀ckk∈N∈l2
この場合、U は有界で全単射であり、vk=Uek である。
{ek}k∈N が H の正規直交基底であるため、(i) ⟹ (ii) に従て、v,w∈H を次のように表せる:
v=k∈N∑⟨v,ek⟩ekw=k∈N∑⟨w,ek⟩ek
すると、U の定義と (i) ⟹ (iii) により、
⟨U∗Uv,w⟩====⟨Uv,Uw⟩⟨k∈N∑⟨v,ek⟩ek,k∈N∑⟨w,ek⟩ek⟩k∈N∑⟨v,ek⟩⟨w,ek⟩⟨v,w⟩
つまり、U∗U=I ので、U はユニタリ作用素であり、逆作用素 U−1=U∗ を持つ全単射である。一方、U がユニタリである仮定から、
⟨Uei,Uej⟩=⟨U∗Uei,ej⟩=⟨ei,ej⟩=δij
すなわち、{Uek}k∈N は正規直交集合である。これが H の基底になるためには、すべての k∈N に対して ⟨v,Uek⟩=0 と仮定する。すると、すべての k∈N に対して ⟨U∗v,ek⟩=0 よって、U∗v=0 でなければならない。先に U∗=U−1 を示したので、両辺に U を適用すれば、v=0 を得る。結果的に、(vi) ⟹ (i) に従って、{Uek}k∈N⊂H が H の正規直交基底になることが確認できる。
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