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無限次元ベクトル空間とシャウダー基底 📂バナッハ空間

無限次元ベクトル空間とシャウダー基底

定義1

$(X, \left\| \cdot \right\|)$をノルム空間と呼ぶことにする。$X$のすべての元$\mathbf{x}\in X$に対して、以下を満たすスカラーの系列$\left\{ a_{k} \right\}_{k \in \mathbb{N}}$が一意に存在するならば、$\left\{ \mathbf{e}_{k} \right\}_{k \in \mathbb{N}} \subset X$を$X$のシャウダー基底schauder basisという。

$$ \mathbf{x}= \sum_{k \in \mathbb{N}} a_{k} \mathbf{e}_{k} $$

説明

ベクトル空間の基底は、特に「無限」の線形結合について議論するとき、シャウダー基底と呼ばれる。無限について語るだけあって、バナッハ空間に関する性質が多く関連しており、特にヒルベルト空間については、以下の有用な定理が知られている。

正規直交基底の同値条件:$H$がヒルベルト空間とする。$H$の正規直交系$\left\{ \mathbf{e}_{k} \right\}_{k \in \mathbb{N}} \subset H$に対して、以下はすべて同値である。

  • (i): $\left\{ \mathbf{e}_{k} \right\}_{k \in \mathbb{N}} \subset H$は$H$の正規直交基底である。
  • (ii): すべての$\mathbf{x}\in H$に対して、 $$ \mathbf{x}= \sum_{k \in \mathbb{N}} \langle \mathbf{x}, \mathbf{e}_{k} \rangle \mathbf{e}_{k} $$
  • (iii): すべての$\mathbf{x}, \mathbf{y} \in H$に対して、 $$ \langle \mathbf{x}, \mathbf{y} \rangle = \sum_{k \in \mathbb{N}} \langle \mathbf{x}, \mathbf{e}_{k} \rangle \langle \mathbf{e}_{k} , \mathbf{y} \rangle $$
  • (iv): すべての$\mathbf{x}\in H$に対して、 $$ \sum_{k \in \mathbb{N}} \left| \langle \mathbf{x}, \mathbf{e}_{k} \rangle \right|^{2} = \left\| \mathbf{x}\right\|^{2} $$
  • (v): $\overline{\text{span}} \left\{ \mathbf{e}_{k} \right\}_{k \in \mathbb{N}} = H$
  • (vi): $\mathbf{x}\in H$であり、すべての$k \in \mathbb{N}$に対して、$\langle \mathbf{x}, \mathbf{e}_{k} \rangle = 0$ならば$\mathbf{x}= \mathbf{0}$

参照


  1. Ole Christensen, Functions, Spaces, and Expansions: Mathematical Tools in Physics and Engineering (2010), p42 ↩︎