算術関数の微分
📂整数論算術関数の微分
定義
算術関数 f の微分または導関数 f′ を次のように定義する。
f′(n):=f(n)logn,n∈N
基本性質
- [1] 和の微分法則: (f+g)′=f′+g′
- [2] 積の微分法則: (f∗g)′=f′∗g+f∗g′
- [3] 商の微分法則: f(1)=0 ならば (f−1)′=−f′∗ (f∗ f)−1
説明
算術関数は概念的にはただの数列に過ぎないため、通常変化率と説明される微分を定義することはできない。しかし、単に元の関数にログをかけることで解析数論での微分を定義することができる。このような微分は概念的には大きな意味はないが、形式的には元の微分と非常に似ていることがわかる。
特にログと関係が深いマンゴルト関数 Λにおいては、次の等式が成立する。
Λ∗ u=u′
u(n)=1 が広く使われる単位関数である点で、無限の応用の可能性を見ることができる。
[1]
(f+g)′(n)=[f(n)+g(n)]logn=f(n)logn+g(n)logn=f′(n)+g′(n)
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[2]
logn=logd+log(n/d) だから
(f∗g)′(n)===d∣n∑f(d)g(dn)lognd∣n∑f(d)g(dn)logd+d∣n∑f(d)g(dn)logdnf′∗g+f∗g′
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[3]
ディリクレ逆数の存在を前提とするために f(1)=0 が必要だ。一方で、ディリクレアイデンティティ I の微分は I’=0 であり、I=f∗ f−1 だから
0=(f∗f−1)′=f′∗f−1+f∗(f−1)′
したがってf∗(f−1)′=−f′∗f−1 を得て、両辺に f−1 を掛ければ
(f−1)′=−f′∗ (f∗ f)−1
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