サブグラフ
定義 1
グラフについて、グラフがとを満たす場合、をのサブグラフと言う。
説明
注意すべき点は、がのサブグラフであるとのように示してはいけないことである。サブグラフの概念はグラフ理論自体の興味の対象としてよりは、むしろ自然で常識的な用語としての意味がある。
例
サブグラフを定義することで、次のような例を考えることができる:
コンポーネント
切断されたグラフのコンポーネントは全てのサブグラフである。
グラフの減算
グラフが与えられたとする:
- エッジについて:に対して、はのエッジを取り除いたグラフとして定義され、自然にのサブグラフとなる。このようなグラフの減算操作は、エッジの集合に対しても拡張可能である。は、のエッジの部分集合のエッジを取り除いたグラフとして定義され、同様にのサブグラフとなる。
- バーテックスについて:に対して、はのバーテックスとに付随する全てのエッジを取り除いたグラフとして定義される。バーテックスについても、バーテックスの集合に対して拡張可能である。は、のバーテックスの部分集合のバーテックスとそれに付随するエッジを取り除いたグラフとして定義され、当然、のサブグラフとなる。
- グラフの収縮:上記の二つの減算操作で記号に注目する。集合の減算記号は、グラフでのエッジのContractionを意味するために使われる。エッジが収縮されるということは、エッジが消えて、に接続されていた二つの端点とを同一視することである。
このようなグラフの減算は、グラフを構築するアルゴリズムなどを話すときに非常に便利なツールとなる。
スパニング
のサブグラフがを満たす場合、をのスパニングと言う。簡単に言えば、バーテックスはそのままで、エッジのみが取り除かれた可能性があるサブグラフである。グラフの減算でエッジが取り除かれたケースに当たる。
誘導グラフ
のサブグラフが を満たす場合、誘導グラフと呼ばれる。誘導グラフは、特定のルールなしにエッジが取り除かれ、バーテックスのみが保持されるスパニングとは異なり、バーテックスが保持されている部分では接続するエッジも保持されているため、元のグラフの性質をある程度受け継いでいると推測できる。
Wilson. (1970). グラフ理論への招待: p12. ↩︎