測度収束
定義 1
測度空間 $( X , \mathcal{E} , \mu)$ が与えられているとする。
可測関数のシーケンス $\left\{ f_{n} \right\}_{n \in \mathbb{N}}$ が、全ての $M >0$ に対して次を満たす場合、$f$ に測度収束すると言われる。 $$ \lim_{n \to \infty} \mu \left( \left\{ x \in X : | f_{n}(x) - f(x) | \ge M \right\} \right) = 0 $$ シーケンス $\left\{ f_{n} \right\}_{n \in \mathbb{N}}$ が、全ての $M >0$ に対して次を満たす場合、測度でコーシーcauchy in measureと呼ばれる。 $$ \lim_{n,m \to \infty} \mu \left( \left\{ x \in X : | f_{m}(x) - f_{n}(x) | \ge M \right\} \right) = 0 $$
説明
確率論での表現では、確率収束と呼ばれる。
収束の定義は、我々が考える収束をきれいに説明する。しかし、このように複雑に測度まで動員して新たな収束を定義する理由は、収束が過度に難しい可能性があるためである。しかし、測度収束すれば、つまり、$f_{n}$ が$f$ と十分に似ていない領域を$\mu$ で測定した時、$0$ に収束する程度で妥協できるなら、もっと多くの話ができる。
これは測度論でほとんど至る所で議論することと似ている。さらに、測度収束はほとんど至る所よりも一歩引いた概念であり、以下の性質を見て、どれだけ不利な条件でも使用できるかを確認しよう。
基本性質
- [1]: $f_{n}$ が $f$ に一様収束する場合、点収束する。
- [2]: $f_{n}$ が $f$ に点収束する場合、ほとんど至る所で収束する。
- [3]: $f_{n}$ が $f$ にほとんど至る所で収束する場合、測度収束する。
- [4]: $f_{n}$ が $f$ に$\mathcal{L}_{p}$ 収束する場合、測度収束する。
[1]~[3]をまとめると以下のようになる:
- 一様収束 $\implies$ 点収束 $\implies$ ほとんど至る所で収束 $\implies$ 測度収束
証明
[1]
一様収束の定義により、全ての $x \in X$ と全ての $\varepsilon > 0$ に対して $n \ge N \implies |f_{n}(x) - f(x)| < \varepsilon$ を満たす $N \in \mathbb{N}$ が存在するため、$f_{n}$ は $f$ に点収束する。
■
[2]
$f_{n}$ が $f$ に点収束するとは、$E = \emptyset$ を除いた $X$ の全ての点 $x$ で各々の関数値 $f_{n} (x)$ が $f(x)$ に収束することを意味する。この時 $\mu ( \emptyset ) = 0$ なので、$f_{n}$ は $f$ にほとんど至る所で収束する。
■
[3]
$f_{n}$ が $f$ にほとんど至る所で収束するとは、$\mu ( E) = 0$ を満たす何かの $E \in \mathcal{E}$ を除いた $X$ の全ての点 $x$ で各々の関数値 $f_{n} (x)$ が $f(x)$ に収束することを意味する。$M > 0$ がどう与えられても $$ \left\{ x \in X : | f_{n}(x) - f(x) | \ge M \right\} \subset E $$ であり、測度の単調性に従って常に $$ \mu \left( \left\{ x \in X : | f_{n}(x) - f(x) | \ge M \right\} \right) \le \mu ( E ) = 0 $$ なので、$f_{n}$ は $f$ に測度収束する。
■
[4]
$M > 0$ に対して $$ \begin{align*} \int_{X} | f_{n} - f |^{p} d \mu &\ge \int_{\left\{ x \in X : | f_{n}(x) - f(x) | \ge M \right\}} |f_{n} - f |^{p} d \mu \\ &\ge \int_{\left\{ x \in X : | f_{n}(x) - f(x) | \ge M \right\}} M^{p} d \mu \\ &\ge M^{p} \mu \left( \left\{ x \in X : | f_{n}(x) - f(x) | \ge M \right\} \right) \end{align*} $$ $f_{n}$ が $f$ に$\mathcal{L}_{p}$ 収束するので、$\displaystyle \lim_{n \to \infty } \int_{X} | f_{n} - f |^{p} d \mu = 0$ そして$M>0$ ゆえに $$ \lim_{n \to \infty} \mu \left( \left\{ x \in X : | f_{n}(x) - f(x) | \ge M \right\} \right) = 0 $$ でなければならない。したがって、$f_{n}$ は $f$ に測度収束する。
■
参照
- ほとんど至る所で収束 $\implies$ 測度収束
- $\mathcal{L}_{p}$ 収束 $\implies$ 測度収束
Bartle. (1995). The Elements of Integration and Lebesgue Measure: p68. ↩︎