logo

集合論により厳格に定義される有限集合と無限集合 📂集合論

集合論により厳格に定義される有限集合と無限集合

定義 1

  1. 二つの集合 $X,Y$ に対して全単射 $f : X \to Y$ が存在する場合、$X$ と $Y$ が 等势equipotentであるといい、$X \sim Y$ と表示される。
  2. 空集合ではない $X$ のどの真部分集合 $Y \subsetneq X$ に対しても、$X \sim Y$ が成立する場合、$X$ を 無限集合という。
  3. 無限集合でない集合を 有限集合という。

説明

  1. 集合論を用いずに無限を説明しようとする時、「等势」という表現は、柵から羊を出す羊飼いに例えられることがある。十分な数の小石を用意しておき、羊が一匹柵から出るたびに小石を一つかごに入れる。そうすれば、柵から出た羊の数と小石の数は同じになるだろう。逆に、羊を再び柵に入れる際には、かごから小石を一つずつ取り出しながら数えればいい。この数が正確に一致すれば、羊飼いは羊を失くさなかったということになる。
    この抽象化されたものは、かごに小石を入れたり取り出したりすることが全単射 $f$ が示す対応に相当する。例えば、自然数の集合 $\mathbb{N}$ は全単射 $g(n) = 2n$ が存在し、偶数の集合 $2 \mathbb{N}$ と等势である。もちろん、このような対応は閉区間 $[0,1]$ に対しても $g(x) = 2x$ を通して存在し$[0,1] \sim [0,2]$ を示す。ここで、$2 \mathbb{N} \subsetneq \mathbb{N}$ があり、$[0,1] \subsetneq [0,2]$ であることに注目しろ。等势という概念が集合の大きさを説明するために導入されたことは確かだが、それが包含関係に繋がるわけではない。
  2. 無限集合の定義が「無限」という言葉を使わずに済ませていることに注目しろ。これは、無限の本質自体が「全体と部分という概念の間に何かを許す」ということを意味している。このようにして、人間の直感に自然に浮かぶ無限は異なり、集合論が生まれた。これは ヒルベルトのホテル をはじめとする比喩で説明されることが多い。

基本性質

以下は有限集合と無限集合が持つ基本的な性質である。等势の概念を理解すれば、それほど難しく考える必要はないだろう。

  • [0] 空集合有限集合である。
  • [1] 無限集合の上位集合は無限集合である。
  • [2] 有限集合の部分集合は有限集合である。
  • [3] 無限集合と等势ならば無限集合である。
  • [4] 有限集合と等势ならば有限集合である。
  • [5] 無限集合から有限集合を引いた差集合は無限集合である。

  1. ユウ・フォン・リン 著、イ・フンチョン 訳 (2011). 集合論(Set Theory: An Intuitive Approach): p205, 215。 ↩︎