選択的サンプリング定理の証明
📂確率論選択的サンプリング定理の証明
定理
確率空間 (Ω,F,P) と スーパーマルチンゲール {(Xn,Fn)} が与えられたとしよう。
τ と σ が σ≤τ と Fn に関してバウンドした停止時刻である場合
E(Xτ∣Fσ)≤Xσ a.s.
- τ が Fn に対してバウンドされるとは、すべての E∈Fn に対して τ(E)≤N を満たす N∈N が存在するということである。
説明
式自体が示しているのは、σ≤τ≤N という条件がある時に、スーパーマルチンゲールの条件
E(Xσ+1∣F)≤Xσ a.s.
が τ に変わっても
E(Xτ∣F)≤Xσ a.s.
不等式の向きが保持されるということだ。
証明
パート1. 1(σ=b)1(τ≥n)=1(σ=n)
σ≤τ なので (σ=n)⊂(τ≥n) が従い、1(σ=b)1(τ≥n)=1(σ=n)
パート2. (τ≥n+1)∈Fn
(τ<n+1)=(τ≤n)∈Fn であり、(τ<n+1)=(τ≥n+1)c を考えると、シグマ場の定義によって (τ≥n+1)∈Fn でなければならない。
パート3. Xn1(σ=n)≥E(Xτ∣Fn1(σ=n))
n=1,⋯,N の場合について考えてみよう。
条件付き期待値の性質: X が F-可測ならば E(X∣F)=X a.s.
条件付き期待値の性質と指示関数の性質、そしてパート1, 2に従ってすべての事象 A∈Fn に対して
=====∫AXn1(σ=n)dP−∫AE(Xτ∣Fn)1(σ=n)dP∫AXn1(σ=n)1(τ≥n)dP−∫AE(Xτ∣Fn)1(σ=n)1(τ≥n)dP∫A∩(σ=n)∩(τ≥n)XndP−∫A∩(σ=n)∩(τ≥n)E(Xτ∣Fn)dP∫A∩(σ=n)∩(τ≥n)E(Xn∣Fn)dP−∫A∩(σ=n)∩(τ≥n)E(Xτ∣Fn)dP∫A∩(σ=n)∩(τ≥n)E(Xn−Xτ∣Fn)dP∫A∩(σ=n)∩(τ≥n)(Xn−Xτ)dP
積分範囲の (τ≥n) を (τ>n) と (τ=n) に分割すると、(Xτ−Xn)=0 だから (τ=n) で
==∫A∩(σ=n)∩(τ≥n)(Xn−Xτ)dP∫A∩(σ=n)∩(τ≥n+1)(Xn−Xτ)dP+∫A∩(σ=n)∩(τ=n)(Xn−Xτ)dP∫A∩(σ=n)∩(τ≥n+1)(Xn−Xτ)dP+0
{(Xn,Fn)} が スーパーマルチンゲール として与えられ、Xτ が Fn-可測であるため、Xτ=E(Xτ∣Fn) a.s. になる
=≥==≥≥==∫A∩(σ=n)∩(τ≥n+1)(Xn−Xτ)dP∫A∩(σ=n)∩(τ≥n+1)XndP−∫A∩(σ=n)∩(τ≥n+1)XτdP∫A∩(σ=n)∩(τ≥n+1)E(Xn+1∣Fn)dP−∫A∩(σ=n)∩(τ≥n+1)E(Xτ∣Fn)dP∫A∩(σ=n)∩(τ≥n+1)E(Xn+1−Xτ∣Fn)dP∫A∩(σ=n)∩(τ≥n+1)(Xn+1−Xτ)dP∫A∩(σ=n)∩(τ≥n+2)(Xn+2−Xτ)dP⋮∫A∩(σ=n)∩(τ≥N)(XN−Xτ)dP∫A∩(σ=n)∩(τ=N)(XN−Xτ)dP0 a.s.
その後、最初に始めた式から
∫AXn1(σ=n)dP≥∫AE(Xτ∣Fn)1(σ=n)dP a.s.
そして∀A∈F,∫Afdm=0⟺f=0 a.e. であるから
Xn1(σ=n)≥E(Xτ∣Fn)1(σ=n) a.s.
パート4. E(Xτ∣F)≤Xσ a.s.
停止時刻の性質: Zn が Fn-可測関数であれば、Zn1σ=n は Fσ と Fn の両方に関して可測関数であり、さらに、Zn1(σ=n)=Zσ1(σ=n) が成り立つ。
停止時刻の性質とパート3によって、n=1,⋯,N について
⟺⟺Xn1(σ=n)≥E(Xτ∣Fn)1(σ=n)Xσ1(σ=n)≥E(Xτ∣Fσ)1(σ=n)Xσ≥E(Xτ∣Fσ)
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