余弦定理の証明
定理 1
群 $\left<G, \ast \right>$ の要素 $a,b,c$ に対して、 $$ a \ast b = a \ast c \implies b = c \\ b \ast a = c \ast a \implies b=c $$
解説
抽象代数を学び始めると、これまで学んできたことを新しい言葉で学ぶことになる。恐らく、約分法則はその中でも最初に出会う定理だろう。通常、両辺で同じものを割る(逆元を掛ける)と単純に言う。約分法則は日本で使われる表現だが、何か名前で覚えたいなら、英語の表現を知っておくべきだ。
証明
$a \ast b = a \ast c$ とすると、$a$ は $G$ の要素なので、左逆元 $a '$ が存在する。左逆元 $a '$ を両辺に掛けると $$ a’ \ast\ (a \ast b) = a’ \ast\ (a \ast c) $$ 結合法則が成り立つので $$ (a’ \ast\ a) \ast b = (a’ \ast\ a) \ast c $$ 逆元の定義により、$G$ の単位元を $e$ とすると $(a’ \ast\ a) = e$ だから $$ e \ast b = e \ast c $$ 単位元の定義により $$ b = c $$ 右側の場合も同じ方法で証明すればいい。
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Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p41. ↩︎