測度の絶対連続
定義 1
可測空間$( \Omega , \mathcal{F} )$が与えられているとする。測度$\nu$、$\mu$がすべての$A \in \mathcal{F}$に対して $$ \mu (A) = 0 \implies \nu (A) = 0 $$ を満たす場合、$\nu$は$\mu$に対して絶対連続であると言い、$\nu \ll \mu$と表記する。
説明
$\nu \ll \mu$の表記から分かるように、$\mu$は$\nu$を「支配」する感じが強い。問題はこれをなぜ「絶対連続」と呼ぶのかということだ。長い間、良い説明を探してきたが、実解析を学ぶレベルの学習者にとって、以下の同値条件の証明することほど理解しやすい方法はなかった。
定理
$\nu \ll \mu$ $\iff$ $\forall \varepsilon > 0$、$\exists \delta > 0 : F \in \mathcal{F}, \mu ( F ) < \delta \implies \nu (F) < \varepsilon $
証明
すべての$n \in \mathbb{N}$に対して$\displaystyle \mu ( F_{n} ) < {{1} \over {2^n}}$と$\nu (F_{n}) > \varepsilon$を満たすシーケンス$\left\{ F_{n} \right\}_{n \in \mathbb{N}} \subset \mathcal{F}$が存在すると仮定する。
$\displaystyle A : = \bigcap_{n \in \mathbb{N}} F_{n}$とすると$\mu (A) = 0$だが、$\nu (A) \ne 0$であるので$\mu (A) = 0 \implies \nu (A) = 0$と矛盾する。
$(\Leftarrow)$
$\forall \varepsilon > 0$について$\delta = \varepsilon$とすると、 $$\mu (A) = 0 \implies \nu (A) = 0$$
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参照
Bartle. (1995). The Elements of Integration and Lebesgue Measure: p84. ↩︎