測度の一般的な定義
📂測度論測度の一般的な定義
定義
可測空間 (X,E)が与えられたとしよう。以下の三条件を満たす拡張実数値を持つ関数μ:E→Rを測度だという。
(a) μ(∅)=0
(b) μ(E)≥0,∀E∈E
(c) {Ej}をEの中で互いに素な集合の数列としよう。すると、次が成り立つ。
μ(j=1⋃∞Ej)=j=1∑∞μ(Ej)
順序対(X,E,μ)を測度空間という。
二つの集合 E1、E2がE1∩E2=∅を満たすならば、E1とE2は互いに素の集合と言う。
説明
μの条件をμ : E→[0,∞]に変えると**(b)**を含むので、省略できる。
条件**(c)**は、簡単に言えば可算加法性だ。注意すべき点は、互いに素な集合に対してのみ成立するということだ。
符号付き測度と測度を一緒に言及する場合、強調のために測度を正の測度とも呼ぶ。
性質
(X,E,μ)を測度空間としよう。
(A) 単調性: E,F∈EかつE⊂Fならば、μ(E)≤μ(F)である。
(B) 可算準加法性: {Ej}1∞がEの元の数列ならば、μ(⋃1∞Ej)≤∑1∞μ(Ej)である。
(C) 下からの連続性: {Ej}1∞⊂Eが単調増加数列であるとする。つまりE1⊂E2⊂⋯。すると、次が成り立つ。
μ(⋃1∞Ej)=j→∞limμ(Ej)
(D) 上からの連続性: {Ej}1∞⊂Eが単調減少数列であるとする。つまりE1⊃E2⊃⋯。そしてμ(E1)<∞とする。すると、次が成り立つ。
μ(⋂1∞Ej)=j→∞limμ(Ej)
証明
(A)
E⊂Fとする。するとF=F∖E+Eが成り立つ。EとF∖Eは互いに素なので、測度の定義**(c)**により、次が成り立つ。
μ(F)=μ(F∖E+E)=μ(F∖E)+μ(E)
すると、測度の定義**(b)**によって、次が成り立つ。
μ(F∖E)+μ(E)≥μ(E)
だから、次が得られる。
μ(F)≥μ(E)
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(B)
F1=E1としよう。そして、k>1に対してFk=Ek∖(⋃1k−1Ej)としよう。すると、各々のFkは互いに素で、⋃1nFj=⋃1nEj, ∀nである。また、各々のjに対してFj⊂Ejである。だから、次が成り立つ。
μ(⋃1∞Ej)=μ(⋃1∞Fj)=1∑∞μ(Fj)≤1∑∞μ(Ej)
二番目の等号は測度の定義**(c)によって成り立つ。最後の不等式は(A)**によって成り立つ。
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(C)
E0:=∅としよう。そして、Fj=Ej∖Ej−1としよう。すると、各々のFjは互いに素である。また、⋃1∞Fj=⋃1∞Ejが成り立つ。だから、次が成り立つ。
μ(⋃1∞Ej)=μ(⋃1∞Fj)=1∑∞μ(Fj)=1∑∞μ(Ej∖Ej−1)=n→∞lim1∑nμ(Ej∖Ej−1)=n→∞limμ(En)=j→∞limμ(Ej)
二番目の等号は測度の定義**(c)**によって成り立つ。
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(D)
Fj=E1∖Ejとしよう。すると、F1⊂F2⊂⋯が成り立つ。また、μ(E1)=μ(Fj)+μ(Ej)で、⋃1∞Fj=E1∖(⋂1∞Ej)が成り立つ。E1=⋃1∞Fj+⋂1∞Ejなので、次が成り立つ。
μ(E1)=μ(⋂1∞Ej)+μ(⋃1∞Fj)=μ(⋂1∞Ej)+j→∞limμ(Fj)=μ(⋂1∞Ej)+j→∞lim[μ(E1)−μ(Ej)]=μ(E1)+μ(⋂1∞Ej)−j→∞limμ(Ej)
二番目の等号は**(C)**によって成り立つ。μ(E1)<∞なので、次が得られる。
μ(⋂1∞Ej)=j→∞limμ(Ej)
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参照