群における単位元と逆元の一意性の証明
📂抽象代数群における単位元と逆元の一意性の証明
定理
群 ⟨G,∗⟩において、Gの全ての要素xに対してe∗x=x∗e=xを満たす単位元eは唯一である。Gの任意の要素aに対してa∗a’=a’∗a=eを満たす逆元a′もaに対して唯一である。
説明
当たり前と思われがちだが、群の定義ではそれらの存在性のみが言及されており、その唯一性については証明が必要である。
証明
戦略:唯一性を証明する際にいつものように、背理法が用いられる。
パート1. 単位元
単位元がeだけではなく、e′も存在すると仮定してみよう。まずeは単位元であるから、
e∗ e′=e′∗ e=e′
が成り立つ。一方、e′も単位元であるから、
e′∗ e=e∗ e′=e
が成り立つ。つまりe=e′であるから、仮定e=e′と矛盾する。
パート2. 逆元
逆も同じように、aの逆元a′とは別の新たな逆元a’’が存在すると仮定してみよう。するとa’∗ a=eであり、a’’∗ a=eであるから、a’∗ a=a’’∗ aが成り立つ。
左右簡約則:群 ⟨G,∗⟩の要素a,b,cに対して、
a∗b=a∗c⟹b=cb∗a=c∗a⟹b=c
簡約則により、a’∗ a=a’’∗ aならばa’=a’’である。
これは仮定a’=a’’と矛盾する。
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