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ソボレフノルムとソボレフ空間

ソボレフノルムとソボレフ空間

定義1

ソボレフ空間

$\Omega \subset \mathbb{R}^{n}$を開集合としよう。正の整数$m$と$1\le p \le \infty$に対して、以下のように定義される関数空間ソボレフ空間Sobolev spaceという。

$$ W^{m, p}(\Omega):=\left\{ u \in L^{p}(\Omega) : D^\alpha u \in L^{p}(\Omega)\quad \forall 0\le |\alpha | \le m \right\} $$

ここで、$\alpha$はマルチインデックス、$D^\alpha u$は弱微分、$L^{p}$はルベーグ空間である。

ソボレフノルム

正の整数$m$と$1\le p \le \infty$に対して、関数$\left\| \cdot \right\|_{m,p}$を次のように定義しよう。

$$ \|u\|_{m,p} =\left( \sum\limits_{0\le |\alpha| \le m } \|D^\alpha u \|^p_{p} \right)^{\frac{1}{p}}, \quad 1\le p<\infty $$

$$ \|u\|_{m,\infty}= \max\limits_{0\le |\alpha| \le m} \|D^\alpha u\|_\infty, \quad p=\infty $$

これがソボレフ空間のノルムになる。

説明

簡単に言えば、ソボレフ空間とは$m$回の微分まで全部$L^{p}$に属する関数たちの集合である。$L^{p}$空間は役立つ性質を持ち、重要な空間ではあるが、微分方程式を解くには少し足りないかもしれない。$L^{p}$空間よりも多くの性質を持つ空間を考える必要があり、それがまさにソボレフ空間である。

明らかに$m=0$ならば$W^{0, p}=L^{p}$である。また、$C_{0}^\infty$が$L^{p}$で稠密であるため、$1 \le p < \infty$のとき$W_{0}^{0,\ p}=L^P$である。さらに、以下のような埋め込みが存在して、$W^{m, p}$を$L^{p}$の部分空間として扱うことができる。

$$ W_{0}^{m, p}(\Omega) \to W^{m, p}(\Omega) \to L^{p}(\Omega) $$

次の三つの関数空間は、全てソボレフノルム$\left\| \cdot \right\|_{m,p}$をノルムとして持っている。正の整数$m$と$1\le p \le \infty$に対して、

$$ \begin{equation} W^{m, p}(\Omega):=\left\{ u \in L^{p}(\Omega) : D^\alpha u \in L^{p}(\Omega)\quad \forall 0\le |\alpha | \le m \right\} \end{equation} $$

$$ \begin{equation} H^{m, p}(\Omega):= \text{the completion of } \left\{ u \in C^m(\Omega) : \|u\|_{m, p} < \infty \right\} \end{equation} $$

$$ \begin{equation} W_{0}^{m, p}(\Omega):= \text{the closure of } C^\infty_{0}(\Omega) \text{ in } W^{m, p}(\Omega) \end{equation} $$

この時、$(1)$~$(3)$をソボレフ空間という。$H^{m, p}$と$W^{m, p}$は実際に同じであると示すことができる。

ソボレフ空間を示す記号には、$H^{m, p}, W^{m, p}, P^{m, p}, L_{p}^{m}$などがある。また、ソボレフ空間という名前が定着する前には、ベッポ・レヴィ空間Beppo Levi spaceとも呼ばれていた。

性質

(a) ソボレフ空間はバナッハ空間である。

(b) $1\le p <\infty$のとき、ソボレフ空間は分離可能である。

(c) $1\le p < \infty$のとき、ソボレフ空間は反射的一様凸である。


  1. Ole Christensen, Functions, Spaces, and Expansions: Mathematical Tools in Physics and Engineering (2010), p59-61 ↩︎