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関数の一様連続 📂解析学

関数の一様連続

定義1

空集合じゃない$E \subset \mathbb{R}$に対して$f : E \to \mathbb{R}$とする。全ての$\varepsilon > 0$に対して

$$ | x_{1} - x_{2} | < \delta \land x_{1} , x_{2} \in E \implies | f(x_{1}) - f(x_{2}) | < \varepsilon $$

を満たす$\delta>0$が存在する場合、$f$を$E$上で一様連続uniformly continuousという。


  • $\land$は論理的に「そして」と表す論理積記号だ。

説明

関数の連続性それ自体が$a \in E$のようにある点での概念であるのに対して、一様連続は集合$E$全体を見る概念だ。例えば連続関数$f (x) := x^2$を考えてみよう。


空集合じゃない$E \subset \mathbb{R}$に対して$f : E \to \mathbb{R}$とする。

(a) コンパクト距離空間: $f$が連続で、$E$が有界閉区間ならば、$f$は一様連続だ。

(b) 収束性保存: $f$が一様連続で、$\left\{ x_{n} \right\}_{n=1}^{\infty}$がコーシーなら、$\left\{ f(x_{n}) \right\}$もコーシーだ。


(1) $E = (0,1)$

$\delta = \dfrac{\varepsilon}{2}$をこう取ると、全ての$x_{1} , x_{2} \in (0,1)$に対して$| x_{1} - x_{2} | < \delta$と言える時、

$$ \begin{align*} | f(x_{1}) - f(x_{2}) | =& | x_{1}^{2} - x_{2}^{2} | \\ =& | x_{1} - x_{2} | | x_{1} + x_{2} | \\ \le & 2 | x_{1} - x_{2} | \\ & < & 2 \delta \\ =& \varepsilon \end{align*} $$

定義によれば、$f$は$E = ( 0 , 1 )$で一様連続だ。

(2) $E = \mathbb{R}$

$f$が$E$で一様連続だと仮定しよう。$\varepsilon = 1$が与えられている時も、

$$ | x_{1} - x_{2} | < \delta \land x_{1} , x_{2} \in E \implies | f(x_{1}) - f(x_{2}) | < 1 $$

$\delta$が存在しなければならない。しかし、アルキメデスの原理に従って、$n \delta > 1$を満たす$n \in \mathbb{N}$を取ることができる。すると$x_{1} = n$、$x_{2} = \left( n + \dfrac{ \delta }{2} \right)$に対して、

$$ \begin{align*} 1 & < & n \delta \\ <& n \delta + {{ \delta^{2} } \over { 4 }} \\ =& \left| n^2 - \left( n + {{ \delta } \over {2}} \right)^2 \right| \\ =& \left| f( n ) - f \left( n + {{ \delta } \over {2}} \right) \right| \\ =& | f (x_{1} ) - f ( x_{2} ) | \\ <& 1 \end{align*} $$

整理すると、$1 < 1$になるが、これは矛盾なので、$f$は$E = \mathbb{R}$で一様連続ではない。

一方、$g(x) = x$を考えると、どんな定義域$E$を考えても、$\delta = \varepsilon$で取ることによって、一様連続の条件を満たす。こんな例から直感的に、一様連続関数は何らかの「おとなしい」関数だと分かる。$g$も$x$を無限大に送ると発散するはずだ。しかし、$f(x) = x^2$のように荒々しく大きくなるのではなく、ある程度の線を保ちながら大きくなる。世の中のどんなことでも、おとなしいものが荒々しいものより扱いやすいのは当然であり、一様連続関数が連続関数よりも良い条件を持っているのも道理だ。

**(b)**で、一様連続が仮定されずに連続関数だけの場合を考えてみよう。

$\displaystyle h(x) := {{1} \over {x}}$は連続関数で、$\displaystyle x_{n} := {{1} \over {n}}$とすると、$\left\{ x_{n} \right\}$は$0$に収束するコーシー数列だ。しかし、$\displaystyle h (x_{n} ) = {{1} \over { {{1} \over {n}} }} = n$なので、$\left\{ h ( x_{n} ) \right\}$がコーシー数列ではないことが分かる。


  1. William R. Wade, An Introduction to Analysis (4th Edition, 2010), p92 ↩︎