リミット・スプレムとリミット・インフィマム
📂解析学リミット・スプレムとリミット・インフィマム
定義
{xn}n∈N、{yn}n∈Nが実数列だとしよう。
- n→∞limsupxn:=n→∞lim(k≥nsupxk)を{xn}のリミットスプレマムlimit supremumと言う。
- n→∞liminfyn:=n→∞lim(k≥ninfyk)を{yn}のリミットインフィマムlimit infimumと言う。
ここで、k≥nsupxk:=sup{xk:k≥n}とk≥ninfxk:=inf{xk:k≥n}である。
性質
- (a):
k→∞limxnk=x⟹n→∞liminfxn≤x≤n→∞limsupxn
- (b):
n→∞liminfxn=x=n→∞limsupxn⟺n→∞limxn=x
- (c):
−n→∞liminfxn=−n→∞limsupxn=n→∞limsup(−xn)n→∞liminf(−xn)
- (d):もしxn≤ynならば
n→∞limsupxn≤n→∞liminfxn≤n→∞limsupynn→∞liminfyn
説明
解析学全般で役立つ表現としてリミットスプレマムは導入されたもので、すぐに賛成するかどうかにかかわらず便利なためである。直感的には、数列の前部を捨てながらスプレマムとインフィマムに関心を持つと考えると分かりやすい。
例えば、xk=k1のとき、k≥nsup{xk}の実際の計算過程を見てみよう。
n=3:sup{31,41,51,⋯}=31
n=4:sup{41,51,⋯}=41
n=5:sup{51,⋯}=51
n→∞:k≥nsup{k1:k∈N}=0
このように、前部を捨てて計算するということは、十分に大きなnについて話したいという意味であり、結局、limとの関連があることがわかる。
n→∞lim{k1:k≥n}=∅であるから、supn→∞lim{xn}が存在しないことを考えると、なぜn→∞limsup=n→∞limk≥nsupのような表現が必要であるかについて少し理解する助けになるかもしれない。極限は考えられるが、少なくともnが与えられているので、snという別の数列の極限だけを考えても差し支えない。
一方で、yn=(−2)n−11を考えると、sup{yn}=1でありinf{yn}=−21だが、
n→∞limsupyn=n→∞liminfyn=0
これは性質 (b) に関する一例でもある。