logo

ベッセル方程式の導出 📂数理物理学

ベッセル方程式の導出

定義

以下の微分方程式を**$\nu$次ベッセル方程式**Bessel’s equation of order $\nu$と呼ぶ。

$$ \begin{align*} x^2 y^{\prime \prime} +xy^{\prime} +(x^2-\nu^2)y =&\ 0 \\ x(xy^{\prime})^{\prime} + (x^2- \nu ^2) y =&\ 0 \\ y^{\prime \prime}+\frac{1}{x} y^{\prime} + \left( 1-\frac{\nu^{2}}{x^{2}} \right)y =&\ 0 \end{align*} $$

説明

ベッセル方程式の解をベッセル関数Bessel functionと呼ぶ。

ベッセル関数は、物理学や工学などでよく見られ、特に円筒対称性を持つ問題で使用される。この理由から、ベッセル関数はシリンダー関数cylinder functionとも呼ばれるが、あまり一般的ではない。

導出

2次元極座標での波動方程式は以下のように与えられる。

$$ \begin{equation} \dfrac{\partial ^2 u}{\partial t^2} = c^2 \left( \dfrac{\partial ^2 u}{\partial r^2}+\frac{1}{r}\dfrac{\partial u}{\partial r}+\frac{1}{r^2} \dfrac{\partial ^2 u}{\partial \theta ^2}\right) \end{equation} $$

$c$は定数である。上記の方程式の解$u$が変数分離可能な関数だとしよう。

$$ u(t, r, \theta)=T(t)R(r)\Theta (\theta) $$

$(1)$を代入すると

$$ T^{\prime \prime}R\Theta=c^2\left( TR^{\prime \prime}\Theta + \dfrac{1}{r}TR^{\prime}\Theta + \frac{1}{r^2}TR\Theta^{\prime \prime} \right) $$

両辺を$c^2TR\Theta$で割ると

$$ \dfrac{T^{\prime \prime}}{c^2T}=\dfrac{R^{\prime \prime}}{R}+\dfrac{R^{\prime}}{rR}+\dfrac{\Theta^{\prime \prime}}{r^2\Theta} $$

左辺は純粋に$t$の関数であり、右辺は$r$、$\theta$の関数なので、式の両辺は定数でなければならない。左辺が$t$に対して定数ではない場合、$t$の値が変わると左辺の値が変わり、右辺の値が変わらないため等式が成り立たなくなる。したがって、すべての$t$、$r$、$\theta$において、両辺は定数である。この定数を$-\mu ^2$としよう。すると、

$$ \begin{equation} \dfrac{T^{\prime \prime}}{c^2T}=\dfrac{R^{\prime \prime}}{R}+\dfrac{R^{\prime}}{rR}+\dfrac{\Theta^{\prime \prime}}{r^2\Theta}=-\mu^2 \end{equation} $$

まず、$r$、$\theta$の式を見てみよう。

$$ \dfrac{R^{\prime \prime}}{R}+\dfrac{R^{\prime}}{rR}+\dfrac{\Theta^{\prime \prime}}{r^2\Theta}=-\mu^2 $$

両辺に$r^2$を掛け、$r$と$\theta$の式を分けてみると

$$ \dfrac{r^2R^{\prime \prime}}{R}+\dfrac{rR^{\prime}}{R}+r^2\mu^2=-\dfrac{\Theta^{\prime \prime}}{\Theta} $$

先に述べた理由と同じで、この式の両辺もまた定数である。この定数を$\nu^2$としよう。すると、以下のような式を得る。

$$ \begin{equation} -\dfrac{\Theta^{\prime \prime}}{\Theta}=\nu^2 \quad \implies \quad \Theta^{\prime \prime} =-\nu^2 \Theta \quad \end{equation} $$

そして再び$(2)$に戻り、$t$に関する式を整理すると

$$ \begin{equation} T^{\prime \prime}=-c^2\mu^2T \end{equation} $$

$(3)$と$(4)$を$(2)$に代入し、適切に式を整理すると以下のようになる。

$$ \begin{align*} &&\dfrac{-c^2 \mu^2 T}{c^2T}=\dfrac{R^{\prime \prime}}{R}+\frac{R^{\prime}}{rR}+\dfrac{-\nu^2\Theta}{r^2\Theta} \\ \implies &&\frac{1}{R}R^{\prime \prime}+\dfrac{1}{rR}R^{\prime}+\left(\mu^2-\frac{\nu^2}{r^2}\right) =0 \\ \implies && r^2R^{\prime \prime}(r)+rR^{\prime}(r)+(\mu^2r^2-\nu^2)R(r)=0 \end{align*} $$

この時、$\mu r=x$と置換しよう。そして次のようにする。

$$ R(r)=f(\mu r)=f(x),\quad R^{\prime}(r)=\mu f^{\prime}(\mu r)=\mu f^{\prime}(x),\quad R^{\prime \prime}(r)=\mu^2 f^{\prime \prime}(\mu r)=\mu^2 f^{\prime \prime}(x) $$

これらの式を先に得た式に代入すると

$$ \begin{align*} && \frac{x^2}{\mu^2}\mu^2f^{\prime \prime}(x) + \dfrac{x}{\mu}\mu f(x)+(x^2-\nu^2)f(x)&= 0 \\ \implies && x^2f^{\prime \prime}(x) + x f(x)+(x^2-\nu^2)f(x)&= 0 \end{align*} $$

上記の式を$\nu$次ベッセル方程式と呼ぶ。通常、以下の形で見ることができる。

$$ \begin{align*} x^2 y^{\prime \prime} +xy^{\prime} +(x^2-\nu^2)y&= 0 \\ x(xy^{\prime})^{\prime}+(x^2 \nu ^2) y&= 0 \end{align*} $$

この方程式の最初の解は以下の通りで、第1種ベッセル関数と呼ばれる。

$$ J_{\nu}(x)=\sum \limits_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{\Gamma (n+1)\Gamma (n+\nu+1)} \left( \frac{x}{2} \right)^{2n+\nu} $$

2つ目の解は以下の通りで、第2種ベッセル関数と呼ばれる。​​​

$$ N_{\nu}(x)=Y_{\nu}(x)=\frac{\cos (\nu \pi)J_{\nu}(x)-J_{-\nu}(x)}{\sin (\nu\pi)} $$

したがって、ベッセル方程式の一般解は以下の通りである。

$$ y(x)=AJ_{\nu}(x)+BN_{\nu}(x) $$

この時、$A$と$B$は定数である。