ホモクリニック分岐"
定義
ホモクリニック分岐homoclinic bifurcationは動力学系のパラメーター変化に従ってホモクリニック軌道が現れるか消えるかする分岐である。
説明
ホモクリニック分岐はその名前の通りホモクリニック軌道に関連しており、パラメーターの変化に従って位置が動くリミットサイクルとセドルポイントが交わるイメージで捉えるのがよい。この時、セドルポイントの近傍だけを見てもホモクリニック軌道に含まれるかどうかは分からないため、グローバル分岐でもある。
例 1
$$ \begin{align*} \dot{x} =& y \\ \dot{y} =& \mu y + x - x^{2} + xy \end{align*} $$ 例として上のようなシステムが与えられたとしよう。このシステムは二つの固定点 $v_{0} = (0, 0)$ と $v_{1} = (1, 0)$ を持ち、分岐は臨界値 $\mu_{c} \approx -0.8645$ で起こる。
$\mu < \mu_{c}$
基本的に $v_{0}$ はセドルであり、不安定なunstable固定点 $v_{1}$ から出るフローはこのセドルを囲むマニフォールドに沿ってリミットサイクルを形成する。$\mu < \mu_{c}$ が $\mu_{c}$ に近づくほど、$v_{1}$ を囲むリミットサイクルは $v_{0}$ に近づいていく。
$\mu \ge \mu_{c}$
$\mu$ が次第に大きくなって$\mu = \mu_{c}$ になった時ホモクリニック軌道が現れ、$\mu_{c}$ を超えると再びホモクリニック軌道が消える。
関連項目
Strogatz. (2015). Nonlinear Dynamics And Chaos: With Applications To Physics, Biology, Chemistry, And Engineering(2nd Edition): p263. ↩︎