パート1. f(j)(0),f(j)(π)∈Z
π∈Q と仮定すると、π π は相互素なある a,b∈N についてπ=baのように表されなければならない。これについて、関数 f を次のように定義しよう。
f(x):=n!xn(a−bx)n
するとf(x) はn より低い次数の項を持たず、a,b,n∈N なので、二項定理によりn!f(x) のすべての項の係数は整数である。従って、x=0 ならば、すべてのj=0,1,2,⋯ に対して
f(j)(0)∈Z
一方でf(x)=f(ba−x)=f(π−x) なので
f(j)(π)∈Z
パート2. ∫0πf(x)sinxdx∈Z
F(x):=j=0∑n(−1)jf(2j)(x)=f(x)−f′′(x)+f(4)(x)−⋯+(−1)nf(2n)(x)
f に対する新しい関数F を上記のように定義すると
dxd[F′(x)sinx−F(x)cosx]===F’’(x)sinx+F(x)sinx[−j=1∑n(−1)jf(2j)(x)+j=0∑n(−1)jf(2j)(x)]sinxf(x)sinx
逆にf(x)sinx を[0,π] から積分してみると
∫0πf(x)sinxdx==[F′(x)sinx−F(x)cosx]0πF(π)+F(0)
しかしパート1でf(j)(0),f(j)(π)∈Z だったのでF(0),F(π)∈Z であり
(F(0)+F(π))∈Z
パート3. ∫0πf(x)sinxdx∈N
0<x<π とすると
f(x)===n!xn(a−bx)nn!bnxn(ba−x)nn!bnxn(π−x)n
従ってf(x)>0 であり、sinx>0 なので
0<f(x)sinx
ゆえに**パート2.**の∫0πf(x)sinxdx∈Z は実際には
∫0πf(x)sinxdx∈N
パート4. 0<f(x)sinx<n!πnan
f を微分すると
f′(x)===n!nxn−1(a−bx)n−n!bnxn(a−bx)n−1(n−1)!xn−1(a−bx)n−1[(a−bx)−bx]2b(n−1)!xn−1(a−bx)n−1[2π−x]
なのでf はx=2π で最大値を取る。直接代入して計算すると
f(x)≤==<n!bn(2π)n(2π)nn!an(21)n(2π)nn!an(4π)nn!anπn
もちろん0<x<π から∣sinx∣≤1 なので、すべてのn∈N に対して
0<f(x)sinx<n!(aπ)n=n→∞limn!(aπ)n=0
なので
n≥N⟹∫0πf(x)sinxdx<1
この条件を満たすN∈N が存在する。しかし、これは∫0πf(x)sinxdx∈N と矛盾するので、以下の結論を得る。
π∈/Q