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L1空間とL2空間の関係 📂ルベーグ空間

L1空間とL2空間の関係

定義

  • $L^{1}$ 空間

    次の式を満たす関数$f$を期間$[a,\ b]$で**(絶対)積分可能**absolutely integrableだという。

    $$ \int_{a}^b |f(x)| dx < \infty $$

    期間$[a,b]$で積分可能な関数の集合を$L^{1}(a,b)$という。

    $$ L^{1}(a,b)= \left\{ f : \int_{-a}^{b} |f(x)| dx < \infty \right\} $$

  • $L^{2}$ 空間

    次の式を満たす関数を二乗積分可能square-integrableだという。

    $$ \int_{a}^b |f(x)|^{2} dx < \infty $$

    期間$[a,b]$で二乗積分可能な関数の集合を$L^{2}(a,b)$という。

    $$ L^{2}(a,b) := \left\{ f : \int_{a}^b |f(x)|^{2} dx < \infty \right\} $$

説明1

特に区間について言及しない場合は、全実数$\mathbb{R}$と考えてよい。

$$ \begin{align*} L^{1} &= L^{1}(\mathbb{R})=\left\{ f : \int_{-\infty}^{\infty} |f(x)| dx < \infty \right\} \\ L^{2} &= L^{2}(\mathbb{R})=\left\{ f : \int_{-\infty}^{\infty} |f(x)|^{2} dx < \infty \right\} \end{align*} $$

一見すると、$L^{1}$空間と$L^{2}$空間の間に含まれ関係が成立するように見えるが、全くそうではない。

$$ L^{1} \nsubseteq L^{2},\quad L^{2} \nsubseteq L^{1} $$

例えば、以下のような関数を考えてみよ。

$$ \begin{align*} f(x) &= \begin{cases} x^{-\frac{2}{3}} & \mathrm{if}\ 0<x<1 \\ 0 & \mathrm{otherwise} \end{cases} \\ g(x) &= \begin{cases} x^{-\frac{2}{3}} & \mathrm{if}\ 1<x \\ 0 & \mathrm{otherwise} \end{cases} \end{align*} $$

計算して確かめてみれば、$f$は$L^{1}$関数だが、$L^{2}$関数ではないことがわかる。

$$ \begin{align*} \int |f(x)|dx &= \int_{0}^1 x^{-\frac{2}{3}}dx=\left[ 3x^{\frac{1}{3}} \right]_{0}^1<\infty \\ \int |f(x)|^2dx &= \int_{0}^1 x^{-\frac{4}{3}}dx=\left[ -3x^{-\frac{1}{3}} \right]_{0}^1=\infty \end{align*} $$

一方で、$g$は$L^{2}$関数だが、$L^{1}$関数ではない。

$$ \begin{align*} \int |g(x)|dx &= \int_{1}^\infty x^{-\frac{2}{3}}dx=\left[ 3x^{\frac{1}{3}} \right]_{1}^\infty=\infty \\ \int |g(x)|^2dx &= \int_{1}^\infty x^{-\frac{4}{3}}dx=\left[ -3x^{-\frac{1}{3}} \right]_{1}^\infty<\infty \end{align*} $$

しかし、以下の条件が満たされれば、$L^{1}$関数も$L^{2}$関数にもなり得るし、$L^{2}$関数も$L^{1}$関数になり得る。さらに積分区間が有界であれば、$L^{1} \subset L^{2}$が成立する。

定理

(a) $f \in L^{1}$かつ$f$が有界だとしよう。すると、$f \in L^{2}$が成立する。

(b) $f \in L^{2}$かつ$f$が有限の区間外で$0$だとしよう。すると、$f \in L^{1}$が成立する。

証明

(a)

$f$が有界と仮定したので、以下のような正の数$M$が存在する。

$$ |f| \le M $$

従って、$|f|^{2} \le M|f|$が成立する。したがって、次が成立する。

$$ \int |f|^2dx \le \int M|f|dx=M\int |f|dx <\infty $$

(b)

仮定により以下の式が成立する。

$$ \int |f|dx=\int_{a}^b|f|dx $$

それならば、コーシー-シュワルツの不等式$| \langle x,\ y \rangle | \le \|x\| \|y\|$により、次が成立する。

$$ \begin{align*} \int_{a}^b|f|dx =&\ \int_{a}^b1\cdot |f|dx \\ =&\ \langle 1 , |f| \rangle \\ \le& \| 1 \|_{2} \| |f| \|_{2} \\ =&\ (b-a)^{\frac{1}{2}}\left( \int_{a}^b|f|^{2} dx\right)^{\frac{1}{2}} \\ <& \infty \end{align*} $$


  1. Gerald B. Folland, Fourier Analysis and Its Applications (1992), p205 ↩︎