実数の濃度と有理数の濃度の比較
📂集合論実数の濃度と有理数の濃度の比較
概要
card(Q)=ℵ0,card(R)=cについて
2ℵ0=cℵ0<c
説明
カントールの対角線論法を見れば分かるように、有理数の集合よりも実数の集合のほうが遥かに多くの要素を持つ。その濃度は、不等式を立てて示すことができる。
証明
パート 1. c≤2ℵ0
関数f:R→℘(Q)をf(a):=x∈Q∣x<a,a∈Rとして定義しよう。実数の稠密性により、二つの実数a<bについてa<r<bを満たす有理数rが存在する。r<bだからr∈f(b)でもa<rだからr∈/f(a)つまり、f(a)=f(b)である。従って、fは単射であり、補題により
card(R)≤card(℘(Q))
card(℘(Q))=2card(Q)=2ℵ0より
c=card(R)≤card(℘(Q))=2ℵ0
パート 2. 2ℵ0≤c
関数g:0,1N→Rをg(a):=0.a1a2a3⋯とし、(aは0,1Nの要素)のように定義しよう。gの関数値は0.00101101⋯のように0と1からなる小数表示で表すことができる。
0,1Nの二つの要素a,bについて、a=bならばg(a)=g(b)だからgは単射で、
card(0,1N)≤card(R)
card(0,1N)=2card(N)=2ℵ0より
2ℵ0=card(0,1N)≤card(R)=c
パート 3. ℵ0<2ℵ0
2ℵ0≥cであり、2ℵ0≤cであるから
2ℵ0=c
カントールの定理:任意の集合Xとその冪集合℘(X)に対してcard(X)<card(℘(X))が成立する
カントールの定理によってℵ0<2ℵ0が成立するからℵ0<cである、そして
ℵ0<2ℵ0
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