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マルチインデックス表記法 📂偏微分方程式

マルチインデックス表記法

定義[^1]

要素が非負の整数の組$\alpha=(\alpha_{1}, \alpha_{2}, \cdots, \alpha_{n})$をオーダーが$|\alpha|$のマルチインデックスmulti-indexと言う。ここで、$| \alpha|$は以下のように定義される。

$$ |\alpha| = \sum _{i}^{n} \alpha_{i} = \alpha_{1} + \cdots + \alpha_{n} $$

表記法

$x = (x_{1}, x_{2}, \dots, x_{n}) \in \mathbb{R}^{n}$に対して、$x^{\alpha}$は以下のように定義される。

$$ x^{\alpha} := x_{1}^{\alpha_{1}} x_{2}^{\alpha_{2}} \cdots x_{n}^{\alpha_{n}} $$

マルチインデックスは、以下のように偏微分を表す際によく使用される。

$$ \begin{align*} D^\alpha :=&\ \dfrac{\partial ^{|\alpha|} } {{\partial x_{1}}^{\alpha_{1}}\cdots {\partial x_{n}}^{\alpha_{n}}} \\ =&\ \left( \frac{ \partial }{ \partial x_{1}} \right)^{\alpha_{1}}\left( \frac{ \partial }{ \partial x_{2}} \right)^{\alpha_{2}}\cdots \left( \frac{ \partial }{ \partial x_{n}} \right)^{\alpha_{n}} \\ =&\ \partial^{\alpha_{1}}_{x_{1}}\cdots\partial^{\alpha_{n}}_{x_{n}} \end{align*} $$

例えば、$\alpha=(2,1,0)$とするならば、$D^{\alpha} u(x)$は以下を意味する。

$$ D^{\alpha} u(x)=\dfrac{ \partial^3 u(x)} {\partial x_{1} \partial x_{1} \partial x_{2}}=\dfrac{ \partial^3 u(x)} {\partial x_{1} ^{2} \partial x_{2}} $$

また、整数$k \ge 0$に対して、$D^k$を以下のように定義する。

$$ D^ku:=\left\{ D^{\alpha} u : |\alpha|=k \right\} $$

$D^{k}u$はオーダーが$k$の全てのマルチインデックス$\alpha$に対する$D^{\alpha} u$を集めた集合である。$k$はマルチインデックスではなく、非負の整数であることに注意。$D^{k}u$の要素にそれぞれ順序を付けること、つまり、それぞれが何番目の成分かを定めると、$D^k u$を$\mathbb{R}^{k}$の点として考えることができる。[^2]次の例を見よ。

  • ケース 1. $k=1$

    勾配を意味する。

    $$ D^1 u=Du:=(u_{x_{1}},\ u_{x_{2}},\ \cdots,\ u_{x_{n}})=\nabla u \ \in \ \mathbb{R^n} $$

  • ケース 2. $k=2$

    ヘッセ行列を意味する。

    $$ D^2u := \begin{pmatrix} u_{x_{1}x_{1}} & \cdots & u{x_{1}x_{n}} \\ \vdots & \ddots & \cdots \\ u_{x_{n}x_{1}} & \cdots & u_{x_{n}x_{n}} \end{pmatrix} \in \ \mathbb{R^2} $$

    特に、$u$のラプラシアンの場合、$u$のヘッセ行列の対角成分をすべて足したものと同じである。

    $$ \Delta u=\nabla^2=\nabla \cdot \nabla u=\mathrm{div} Du = \sum_{i=1}^nu_{x_{i}x_{i}} = \mathrm{tr} (D^2u) $$