一次元波動方程式の導出
📂物理学一次元波動方程式の導出
概要
一次元の波動方程式wave equationは以下のとおりだ。
∂x2∂2f=v21∂t2∂2f
ここで、vは波の伝搬速度を表す。
波の特徴

図1のように、速度がvで一定の波があるとしよう。時刻tでのx点の波の変位をf(x,t)とする。最初の糸の変位をg(x)=f(x,0)としたとき、t秒後の糸の変位がどうなるかを知りたい。速度がvであるため、vtだけ平行移動したことと同じであり、これは図2に示されている。したがって、
f(x,t)=f(x−vt,0)=g(x−vt)
この式は、波動関数が2つの変数x, tが合わさったx−vtのみの関数であることを示している。したがって、f1、f2、f3は波を表しているが、f4、f5は波を表していない。
f1=Ae−(x−vt)2,f2=Asin(2(x−vt)),f3=(x−vt)2−1Af4=Aex(x−vt),f5=Acos(x)cos(xvt)
導出
方法1

張り詰めた糸の運動を考察することにより、一次元の波動方程式を導き出すことができる。糸が平衡位置から逸脱したとき、長さΔxの断片が垂直方向に受ける力を張力Tで表すと、
ΔF=Tsinθ′−Tsinθ
θが十分に小さいとき、sinθ≈tanθであるため、上の式は以下のように書くことができる。
ΔF≈T(tanθ′−tanθ)
tanは勾配(微分)と同じであるため、
ΔF≈=≈ T(tanθ′−tanθ) T[f′(x+Δx)−f′(x)] T∂x2∂2fΔx
糸の単位長さ当たりの質量をμとする。すると、ニュートンの第二法則(F=ma)によれば、
ΔF=== mΔa m∂t2∂2f μΔx∂t2∂2f
(1)及び(2)により、
∂x2∂2f=Tμ∂t2∂2f
μT=vと置換すると、
∂x2∂2f=v21∂t2∂2f
これを一次元の波動方程式と呼ぶ。この方程式の解は、以下の形を満たさなければならない(tで二回微分したときにv2の項が生じるため)。
f(x,t)=g(x−vt)
ここで、このようなvは、上で議論したように、波の伝搬速度を示していることがわかる。
■