電磁気学における連続方程式
式
以下の式は 連続方程式continuity equationと呼ばれる。
$$ \dfrac{\partial \rho}{\partial t}=-\nabla \cdot \mathbf{J} $$
説明1
連続方程式は局所的な領域での電荷保存の法則を数式で表したものである。電荷の保存の法則は、もともとあった電荷が突然なくなったり、新しい電荷が生成されることなく、最初の電荷量がそのまま維持されるという法則である。これは宇宙全体に対してもそうだが、私たちの目の前に現れる小さな領域に対しても同じである。ある空間内の総電荷量に変化が生じた場合、必ずその空間の境界を通じてその分の電荷が入ったり出たりしなければならない。私が ドア(空間の境界) を通らずに自分の 部屋(空間) を出ることはできないのと同じである。私が部屋から消えたら、ドアを通って出たことが明らかであり、私がドアを通って外へ出たら、部屋から私が消えたことが明らかである。
導出
ある体積 $\mathcal{V}$ 内の電荷は以下の通りである。
$$ Q(t)=\int_\mathcal{V} \rho (\mathbf{r},t) d \tau $$
そして、$\mathcal{V}$の境界 $\mathcal{S}$を通じて流れる電流は $\displaystyle \oint_\mathcal{S} \mathbf{J} \cdot d\mathbf{a}$ であるから
$$ \dfrac{dQ}{dt}=-\oint_\mathcal{S} \mathbf{J} \cdot d\mathbf{a} $$
符号が反対につく理由は当然である。私が部屋から出たなら、部屋内の人数の変化量(左辺)は $-1$ だが、ドアを通って出た人数(右辺)は $1$ であるからである。上記の二つの式から、以下の式が成り立つ。
$$ \int_\mathcal{V} \dfrac{ \partial \rho}{\partial t} d \tau= -\oint_\mathcal{S} \mathbf{J} \cdot d\mathbf{a} $$
右辺に発散定理を適用すると
$$ \int_\mathcal{V} \dfrac{ \partial \rho}{\partial t} d \tau= -\int_\mathcal{V} \nabla \cdot \mathbf{J} d\tau $$
上記の式は任意の空間 $\mathcal{V}$ に対しても成り立つので、以下の式が成り立つ。
$$ \dfrac{ \partial \rho}{\partial t} = -\nabla \cdot \mathbf{J} $$
デイヴィッド・J・グリフィス, 基礎電磁気学(Introduction to Electrodynamics, 金進丞 翻訳) (4版, 2014), p239-240 ↩︎